(3) 公正な競争環境の整備 ア 電気通信事業分野における競争状況の評価 総務省では、複雑化する電気通信事業分野における競争状況を正確に把握し、政策に反映していくため、平成15年度から毎年度、「電気通信事業分野における競争状況の評価 9 」(以下「競争評価」という。)を実施している。平成25年9月に公表した「競争評価2012」においては、定点的評価について、「競争評価2011」の枠組みを原則として維持する一方、大幅に契約数を伸ばしている3.9G及びBWAを移動系通信(データ通信)市場の部分市場(移動系超高速ブロードバンド市場)として画定するとともに、SIMロック解除の動向や番号ポータビリティの状況等の基本データの整理・拡充を図った。また、戦略的評価については、競争政策の展開との機動的な連携を図る観点から、@移動系通信市場における新規参入事業者の事業環境(供給側)、A市場間の連携サービスの利用動向(需要側)、B電気通信サービスの上流サービス利用の分析及び電気通信サービスのプライバシー意識の分析の3つのテーマを取り上げ、各領域における個々のサービス市場の分析・評価を行った 10 。 「競争評価2012」の評価結果の概要(抜粋) [移動系データ通信市場] 移動系データ通信市場における市場支配力に関しては、首位のNTTドコモのシェアは高く、同社が単独で市場支配力を行使し得る地位にあると考えられる。ただし、NTTドコモは引き続きシェアを減少させており、その結果として2位・3位の事業者との市場シェアの差は縮小傾向にあり、同社の市場支配力を行使し得る地位は低下している。 市場競争をめぐる上位3事業者間の関係や、第二種指定電気通信設備に係る規制措置等にかんがみれば、NTTドコモが単独で、又は複数事業者が協調して市場支配力を実際に行使する可能性は低い。 上位下位レイヤーをレバレッジとしたネットワークレイヤーへの影響については、上位レイヤーのプラットフォーム事業者等の中には、サービスシェア等が非常に高い事業者が複数あり、当該事業者が特定の通信事業者のみにサービスを提供している事例がある。そうした一部の例外的な事業者を除くと、プラットフォーム事業者は、通信事業者間の乗り換えに制限を設けておらず、総合的にネットワークレイヤーへの影響は限定的であると評価できる。 「競争評価2013」においては、平成25年12月に「実施細目2013」を決定・公表し、定点的評価について、「競争評価2012」の枠組みを原則として維持する一方、市場集中度(HHI)が低く、明らかに競争的な市場である場合、または利用者の他の類似サービスへの移行が顕著で規模が相対的に小さい市場(ISP市場、050−IP電話市場及びWANサービス市場)である場合には分析のみを行うこととするが、戦略的評価の結果を踏まえて市場の分析指標を企業グループ単位で算定する場合の市場シェア等の変動を考慮し、WANサービス市場については2013年度も評価対象とすることとした。また、戦略的評価については、競争政策の展開との機動的な連携を図る観点から、@企業グループにおける連携サービスの競争環境への影響に関する分析、A地域ブロックにおける超高速ブロードバンドサービスの競争状況の分析、B固定ブロードバンド・モバイルインターネットの上流サービスの利用分析(競争評価2011からの継続)の3つのテーマを取り上げることとしている。 なお、競争評価については、「ブロードバンド普及促進のための環境整備の在り方」(答申)において、「公正競争レビュー制度における料金や市場シェアの推移状況等の検証に当たり、競争評価における分析結果を有効に活用すべきである」とあるほか、「競争評価における戦略的評価のテーマとして、公正競争レビュー制度に基づく検証を補足する事項を必要に応じて分析・評価するのが望ましい」とされており、2012年度から運用を開始した「ブロードバンド普及促進のための公正競争レビュー制度」と連携しつつ、具体的な分析・評価を行っていくこととしている。 9 電気通信事業分野における競争状況の評価:http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/kyousouhyouka/ 10 競争評価2012:http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban02_02000099.html