2 国際的な枠組における取組 (1) 多国間の枠組における国際政策の推進 ア アジア太平洋経済協力(APEC) アジア太平洋経済協力(APEC:Asia−Pacific Economic Cooperation)は、アジア太平洋地域の持続可能な発展を目的とし、域内の主要国・地域が参加する国際会議である。電気通信分野に関する議論は、電気通信・情報作業部会(TEL:Telecommunications and Information Working Group)及び電気通信・情報産業大臣会合(TELMIN:Ministerial Meeting on Telecommunications and Information Industry)を中心に行われている。 総務省は、2013年(平成25年)9月に開催された第48回TEL会合から自由化分科会の議長を担当しており、議長として貢献しつつ我が国の情報通信政策の紹介を行う等、APEC参加国・地域間で共有すべき目標である「ユニバーサル・ブロードバンド・アクセス」等の推進に向けてAPECの情報通信関連活動を積極的に展開している。2013年(平成25年)は、2012年(平成24年)8月の第9回TELMINにおいて承認された「TEL戦略行動計画」に基づいて、@新たな成長へ向けたICT開発、AICT利活用を通じた社会経済活動の向上、B安全・安心なICT環境の推進、C地域経済統合の促進、DICT分野における協力の強化について調査研究、ワークショップ開催等の活動を行った。 イ アジア・太平洋電気通信共同体(APT) アジア・太平洋電気通信共同体(APT:Asia−Pacific Telecommunity)は、1979年(昭和54年)に設立されたアジア・太平洋地域における情報通信分野の国際機関であり、山田事務局長のもと、同地域における電気通信や情報基盤の均衡した発展を目的として、研修やセミナーを通じた人材育成、標準化や無線通信等の地域的政策調整等を行っている。 総務省は、これまで我が国からの特別拠出金の活用等を通じて、我が国が強みを有するICT分野に関する研修員の受け入れ、ICT技術者交流といった支援を行っている。今後もAPT活動の重要性にかんがみ、我が国としての貢献を継続していく。 ウ 東南アジア諸国連合(ASEAN) 東南アジア諸国連合(ASEAN:Association of South−East Asian Nations)は、東南アジアの10カ国からなる地域協力機構であり、域内における経済成長、社会・文化的発展の促進、政治・経済的安定の確保、域内諸問題に関する協力を主な目的としている。我が国はASEANの対話国として、日ASEAN首脳会議や日ASEAN情報通信大臣級会合等を開催し、協力を進めている。特に、2013年(平成25年)12月には、日ASEAN友好協力40周年を記念し、日・ASEAN特別首脳会議を開催した。同会議において、日本とASEANの協力強化を確認するビジョンステートメントの中で、ICT及びサイバー・セキュリティにおける協力の促進、ビジョンステートメント実施計画の中で、「ASEANスマートネットワーク構想」を含めたICT分野における一層の協力促進について、首脳レベルで合意している。また、2013年(平成25年)11月にシンガポールで開催された日ASEAN情報通信大臣級会合では、ASEAN連結性の強化を支援するため、「ASEANスマートネットワーク構想」の具体的内容について議論が行われ、その実現に向けた協力を加速させていくことの重要性が確認された。サイバーセキュリティ分野での日・ASEAN間の協力強化について、総務省は2013年(平成25年)8月に、「日ASEAN情報セキュリティワークショップ」を開催し、サイバー攻撃の予知即応(PRACTICE)の連携拡大、教材開発及び共同演習といった今後の連携方策の方向性を確認した。これを踏まえ、同年9月に東京で開催された「日・ASEANサイバーセキュリティ協力に関する閣僚政策会議 2 」において、PRACTICE及びマルウェア感染警告(DAEDALUS)からなる技術協力(JASPER)や専門家派遣等を通じた5年間で1,000人規模の政府職員向けの研修の実施(日・ASEANサイバーセキュリティ人材育成イニシアティブ)を含む共同声明が発表された。さらに、同年10月にフィリピン(マニラ)で開催された第6回「日・ASEAN情報セキュリティ政策会議」で、共同声明で合意された技術協力、人材育成等における連携強化の具体的検討が行われ、引き続き国際的な連携を強化していくことが確認された。 我が国同様に自然災害が多いASEANでは、域内の自然災害等や緊急事態時に、加盟国の対応機関間の連絡・調整を行うことを目的として、「ASEAN防災人道支援調整センター(AHAセンター)」が2011年(平成23年)11月に開設された。我が国は、日・ASEAN統合基金(JAIF)等を通じて関連設備の整備及びICT専門家派遣等を実施しており、総務省においても、これに対する必要な協力・支援を行っているところである。 エ 国際電気通信連合(ITU) ITU(本部:スイス(ジュネーブ)。193か国が加盟)は、 @ 無線通信部門(ITU−R:ITU Radiocommunication Sector) A 電気通信標準化部門(ITU−T:ITU Telecommunication Standardization Sector) B 電気通信開発部門(ITU−D:ITU Telecommunication Development Sector) の3部門から成り、周波数の分配、電気通信技術の標準化及び開発途上国における電気通信分野の開発支援等の活動を行っている。我が国は、各部門における研究委員会の議長・副議長及び研究課題の責任者を多数輩出し、勧告を提案するなど、積極的に貢献を行っている。 (ア)ITU−Rにおける取組 ITU−Rでは、あらゆる無線通信業務による無線周波数の合理的・効率的・経済的かつ公正な利用を確保するため、周波数の使用に関する研究を行い、無線通信に関する標準を策定するなどの活動を行っている。 国際的な周波数分配等を規定する無線通信規則の改正を目的として3〜4年に一度開催される世界無線通信会議(WRC−15:World Radiocommunication Conference 2015)が、2015年(平成27年)11月にスイス(ジュネーブ)で開催される予定である。 WRC−15に向けては、「IMTへの追加周波数特定」、「自動車用高分解能レーダーの周波数分配」、「ブロードバンド公共保安及び災害救援の導入」、「固定衛星業務への周波数追加分配」など、30を超える議題が設定され、関連研究委員会(SG:Study Group)やAPT等の地域標準化機関等において、各議題について技術面・規則面の観点から検討が行われており、我が国は積極的に議論に貢献している。 特に、「IMTへの追加周波数特定」については、候補周波数帯、各帯域における他業務との共用等の検討が行われており、我が国は寄与文書の提出等、積極的に活動している。2013年(平成25年)7月には、当該議題を審議する会合であるITU-R SG5 WP5D会合を札幌において開催し、我が国主導のもと、IMTが将来必要とする周波数帯域幅について検討結果をとりまとめた。 (イ)ITU−Tにおける取組 ITU-Tでは、通信ネットワークの技術、運用方法に関する国際標準や、その策定に必要な技術的な検討が行われている。 画像符号化やIPTV、デジタルサイネージ、モノのインターネット(IoT)、医療の情報化(e-health)、高度道路交通システム(ITS)等のマルチメディア分野の標準化を議論している第16研究委員会(SG16:Study Group 16)は、ITUの本部があるジュネーブで開催されるのが通例であるが、2014年(平成26年)6月の会合については、札幌に招致して開催し、画像符号化の標準方式(ITU-T勧告H.265)の拡張やデジタルサイネージの災害時運用条件に関するITU-T勧告について議論がなされた。 また、災害対策の取組としては、2012年(平成24年)1月に電気通信標準化諮問委員会(TSAG:Telecommunication Standardization Advisory Group)において災害対策フォーカスグループ(FG-DR&NRR:Focus Group on Disaster Relief Systems, Network Resilience and Recovery)の設置が承認され、電気通信の観点から、災害救援システム/アプリケーション及びネットワークの復旧・回復に関する要求条件の検討等が行われた。検討結果は、要求条件やユースケース等の成果文書としてとりまとめ、それらが2014年(平成26年)5月に開催された親会合であるSG2に報告され、FGとしての役割が遂行された。 さらに、近年注目されているテーマの一つであるSDN(Software Defined Network)については、他のSDO(Standards Developing Organizations)におけるSDNの検討状況等を考慮しつつ、ITU-T内でのSDNに関する検討体制等の調整を行うためのJCA(Joint Coordination Activity)-SDNの設置が2013年(平成25年)6月に承認された。本活動は、2012年世界電気通信標準化総会(WTSA-12:World Telecommunication Standardization Assembly 2012)の決議を踏まえ、ITU-TにおけるSDNの標準化活動の促進を目指すものである。 そのほか、個々の国際標準の策定等の活動に加え、ITU-Tにおける将来の国際標準化の検討体制や、国際標準を策定する他機関との連携・協力などについて議論する必要があるとの認識が高まっていた。そこで、WTSA-12において、これらの課題について検討を行うために、我が国からの提案に基づき、レビュー委員会(Review Committee)の設置が合意された。2013年(平成25年)6月の設置以来、行動計画の策定やアンケートによるITUメンバーからの意見収集、SGの再編成に向けた議論等が行われている。本委員会での検討結果は、WTSA-16に報告され、ITU-Tにおける標準化活動をより良いものとしていくことに資するものとなる。 なお、上で述べたSG16、災害対策フォーカスグループ、JCA-SDN及びレビュー委員会のいずれも、議長は我が国が務めている。このような重要な会合において、役職者を輩出するなど、引き続き、国際標準化における活動に積極的に取り組んでいく。 (ウ)ITU−Dにおける取組 ITU−Dでは、開発途上国における電気通信分野の開発支援を行っている。ITU−Dにおける最高意思決定会議として4年に1度開催される世界電気通信開発会議(WTDC−14:World Telecommunication Development Conference 2014)が、2014年(平成26年)3月〜4月に、アラブ首長国連邦(ドバイ)で開催され、今後の活動指針となる宣言及び行動計画等の採択が行われた。SG等の議長・副議長については、我が国から新たに副議長1名が任命された。 総務省では、開発途上国の電気通信の開発の促進及び向上への貢献に加え、災害対策への情報通信技術の利活用等、日本の経済成長を促す上でも有効となる、我が国発の情報通信技術やシステムの海外普及に寄与することなどを目指し、ITU−D研究委員会への参加、ITU−Dに関連する会議の国内開催等各種活動を行っている。 2013年(平成25年)2月には、世界共通の課題である医療分野の課題解決に資するため、ICTを活用したe-Healthを開発途上国に普及していくためのワークショップ等を、我が国の情報通信企業との連携の下、東京で開催した。 オ 国際連合 国際連合においては、主として国連総会第一委員会、国連総会第二委員会及び経済社会理事会の場において、インターネットを巡る議論が行われている。 (ア)国連総会第一委員会 軍縮と国際安全保障を扱っている国連総会第一委員会においては、2010年(平成22年)12月、国家のICT利用に関する規範等について議論すべきことや2012年(平成24年)から2013年(平成25年)に「国際安全保障分野における情報及び電気通信分野の進歩」に関する政府専門家会合(GGE:Group of Governmental Experts)を開催することなどが決議された。これを受け、2011年(平成23年)9月に、中国、ロシア、タジキスタン及びウズベキスタンの4か国から「情報セキュリティに関する国際行動規範」案が提案され、さらに、2011年(平成23年)12月の決議では、GGEにおいて規範等について議論されることが明確化された。そこで、GGEにおいて同案を含め、サイバー空間におけるルールづくり等について議論がなされた結果、国家のICT利用に関する規範等を含む報告書が、2013年(平成25年)6月に取りまとめられた。 その後、同年12月、第68回国連総会において、「国際安全保障の文脈における情報及び電気通信分野の進展」決議が採択され、同決議により、同GGEの再設置と第1回会合を2014年(平成26年)7月に開催することが決定された。なお、2015年(平成27年)の第70回国連総会において同GGEからの報告が実施される予定である。 (イ)国連総会第二委員会・経済社会理事会(ECOSOC) 経済と金融を扱っている国連総会第二委員会においては、開発とICTについての議論が行われている。また、2003年(平成15年)にジュネーブで、また、2005年(平成17年)にチュニスで開催された世界情報社会サミット(WSIS:World Summit on the Information Society)のフォローアップが、経済社会理事会(ECOSOC:Economic and Social Council)に設置されている「開発のための科学技術委員会」(CSTD:Commission on Science and Technology for Development)を中心に行われ、ECOSOCを経て国連総会第二委員会においても議論されている。WSISに関する主要な課題の一つであるインターネット・ガバナンスについては、WSISチュニス会合における成果文書で示されているインターネット政策に関する「協力強化」(enhanced cooperation)の一環として、2011年(平成23年)10月にインドから「インターネット政策委員会」を国連総会に設置することが提唱されたが、実現には至らず、2012年(平成24年)5月に協力強化に関する関係者の意見を集約するため、オープンコンサルテーション会合が開催された。また、その結果を踏まえて同月開催のCSTD第15回年次総会において協力強化の在り方に関する議論が行われ、ECOSOCに提出される決議案が採択された。その後、2012年(平成24年)12月に、第67回国連総会において、「協力強化に関するワーキンググループ(WGEC:Working Group on Enhanced Cooperation)」の設置をCSTD議長に求めること等が決議された。WGECは、2013年(平成25年)5月の第1回会合以降、2014年(平成26年)4月の第4回会合まで計4回開催され、我が国もアジア地域グループのメンバー国の1つとして出席し、同議長報告の作成に貢献した。なお、同議長報告は、2014年(平成26年)5月に開催されたCSTD第17回年次総会において同議長から報告がなされた。 カ 世界貿易機関(WTO)ドーハ・ラウンド交渉 2001年(平成13年)11月から開始された世界貿易機関(WTO:World Trade Organization)ドーハ・ラウンド交渉では、サービス貿易分野において最も重要な分野の一つとされている電気通信分野について、電気通信市場の一層の自由化に向けた積極的な交渉が展開されている。我が国は、WTO加盟国の中で最も電気通信分野の自由化が進展している国の一つであることから、諸外国における外資規制等の措置について、撤廃・緩和の要求を行っている。同ラウンド交渉は、2006年(平成18年)夏や2008年(平成20年)夏、各国の意見対立により中断、再開を繰り返している。2011年(平成23年)12月に開催された第8回WTO閣僚会議においては、ドーハ・ラウンド交渉については、交渉が膠着状態に陥り、当面、一括妥結の見込みは少ないことを認めつつも、目標としての一括妥結は断念しないこと及び部分合意、先行合意等の「新たなアプローチ」を探求することが合意された。2013年(平成25年)12月に開催された第9回WTO閣僚会議においては、ドーハ・ラウンド交渉の部分合意である「バリ合意」(貿易円滑化協定等)がなされた。サービス分野においては、2011年(平成23年)末の第8回WTO閣僚会議以降、「新たなアプローチ」の一環として我が国を含む有志国によるサービス貿易自由化に関する議論が継続的に行われ、21世紀にふさわしい新サービス貿易協定(TiSA:Trade in Services Agreement)の策定に向けて、2013年(平成25年)6月から本格的な交渉段階に入っている。 キ G8 2012年(平成24年)5月にキャンプデービッド(米国)で開催されたG8キャンプデービッドサミットでは、成果文書である首脳宣言(G8コミュニケ)において、ICT関連の記述として、@情報の自由な流通を促進しつつ、相互支援取極、税関間協力等知的財産関連の高水準の執行の重要性を確認、A医薬品を販売する不正なインターネットサイトと闘い、偽造医薬品への対処に関するベスト・プラクティスを共有することにコミット、することが盛り込まれ、採択された 3 。 また、2013年(平成25年)4月にロンドン(英国)で開催されたG8外相会合では、議長声明においてICT関連の記述として、@安全で、開かれた、アクセス可能なインターネットが、我々の社会及び経済にとって不可欠な道具であり、かつ、繁栄、自由、民主主義及び人権を促進するものであること、Aすべての国が経済成長及びイノベーションの潜在性から恩恵を受けることを助けるインターネットの重要性、B「国際安全保障分野における情報及び電気通信分野の進歩」に関する政府専門家会合(GGE:Group of Governmental Experts)の取組を重視すること等について盛り込まれた 4 。 ク 経済協力開発機構 経済協力開発機構(OECD:Organisation for Economic Co-operation and Development)では、デジタル経済政策委員会(CDEP:Committee on Digital Economy Policy)における加盟国間の意見交換を通じ、情報通信に関する政策課題及び経済・社会への影響について調査検討を行っている。OECDの特徴は、他の国際機関に比べ、最新の政策課題について、経済的な観点から、より客観的・学術的な議論を行う点にある。CDEPは、通信規制政策、情報セキュリティ、プライバシー等の分野において特に先導的な役割を果たしている。 2011年(平成23年)6月にパリのOECD本部で開催されたインターネットエコノミーに関するハイレベル会合において策定された「インターネット政策策定原則」が2011年(平成23年)12月にOECD勧告として採択された。また、我が国の提案によりプロジェクトが始動した「オンライン上の青少年保護」に関するOECD勧告が2012年(平成24年)2月に採択された。2013年(平成25年)7月には、OECDプライバシーガイドラインの改訂版が採択された(第3章第3節1(2)ウ参照)。現在、OECDセキュリティガイドラインの改訂作業が進められている。今後、2014年(平成26年)に日本にてビッグデータを主要なテーマとした知識経済に関するグローバルフォーラムが、2016年(平成28年)にメキシコにてインターネット政策などを主なテーマとしたデジタル経済に関する閣僚級会合が開催予定とされている。 ケ その他 インターネットガバナンスフォーラム(IGF:Internet Governance Forum) 5 は、2005年(平成17年)のWSISチュニス会合における成果文書に基づき国際連合が事務局を設置した、インターネットに関する国際的な政策課題について議論するフォーラムであり、2006年(平成18年)以降毎年開催されている。 2013年(平成25年)10月には、バリ(インドネシア)において第8回会合が開催され、@アクセスと多様性、A開放性、Bセキュリティ、Cインターネットの公共政策における協力強化、Dマルチステークホルダーの協力原則、Eインターネットガバナンスの原則をテーマとしてインターネットに関する様々な公共政策課題について議論がなされた。同会合に併せて、高級閣僚級会合が開催され、世界各国の閣僚等により、インターネットが社会経済にもたらす効果、情報の自由な流通や表現の自由の確保等について議論された。また、2014年(平成26年)4月には、NETmundialの愛称の「将来のインターネットガバナンスに関するグローバルなマルチステークホルダー会合」がブラジル(サンパウロ)で開催され、@インターネットガバナンスの原則、Aインターネットガバナンスの将来の展開に向けたロードマップに関する「NETmundialマルチステークホルダー声明」がとりまとめられた。 また、アジア地域においては、インターネットコミュニティが中心となり、インターネットに関して自由な議論を行うアジア太平洋地域IGFが2010年(平成22年)に設立され、2012年(平成24年)7月、東京において第3回会合が開催された。 我が国は、政府、企業、市民社会などのマルチステークホルダーによる「対話の場」であるIGF等の役割を支持するとともに、積極的に会議へ参加している。 インターネット利用に必要不可欠なIPアドレスやドメイン名といったインターネット資源については、重複割当の防止等全世界的な管理・調整を適切に行うことが重要である。現在、インターネット資源の国際的管理・調整は、ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers) 6 が行っており、総務省は、ICANNの政府諮問委員会(各国政府の代表者等から構成)の正式登録メンバーとして、国際的な協力体制の確立に取り組んでいる。2013年(平成25年)は、4月(北京(中国))、7月(ダーバン(南アフリカ))及び11月(ブエノスアイレス(アルゼンチン))、2014年(平成26年)は、3月(シンガポール)にICANN会合が開催された。直近のシンガポール会合では、新たな分野別トップレベルドメイン名 7 の導入が主要テーマの1つとなったほか、ドメイン名システムに関して米国商務省国家電気通信庁が担ってきた役割をグローバルなマルチステークホルダーに移管するプロセスに関する議論が行われた。 この動きに関しては、インターネット関連10団体が、2013年(平成25年)10月7日に、「今後のインターネット協力体制に関するモンテビデオ声明」を発表し、「最近明るみに出た広範に浸透している監視活動により、インターネットに対する全世界の利用者の信頼と信任が損なわれる結果となっていることへの強い懸念」とともに、「ICANNとIANA機能のグローバル化の加速を呼びかける」ことを表明した。2014年(平成26年)3月14日には、米国商務省国家電気通信情報庁が、「重要なインターネットドメイン名機能の移転の意向表明」を発表し、米国政府によるDNSの民営化計画の最終段階として、インターネットのDNSの調整において米国商務省国家電気通信情報庁が担っている現在の役割をグローバルなマルチステークホルダーコミュニティに移管する意向があることを表明している。 2 日・ASEANサイバーセキュリティ協力に関する閣僚政策会議の結果: http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu03_02000056.html 3 G8キャンプデービッド・サミットの結果:http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/summit/camp_david12/sk_gaiyo.html 4 G8外相会合(ロンドン)の結果:http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/page3_000060.html 5 インターネットガバナンスフォーラム:http://www.intgovforum.org/ 6 ICANN:http://www.icann.org/ 7 インターネット上の住所に当たるドメイン名(例、www.soumu.go.jp)のうち、一番右側にある文字列(「.jp」等)のこと。トップレベルドメイン名には、「.jp」等の国別トップレベルドメイン名と「.com」、「.net」等の分野別トップレベルドメイン名がある。これまでは、分野別トップレベルドメイン名は、必要性の高いものだけが個別に認められていたが、一定の規則に則った分野別トップレベルドメイン名を追加できる新たな仕組み(新gTLDプログラム)の導入により、新たな分野別トップレベルドメイン名が追加されている。