第1章 通信自由化とICT産業の発展 本年2015年は、日本のICT産業にとって大きな節目の年である。今から30年前の1985年、日本電信電話公社(電電公社)がNTTとして民営化され、それまで電電公社の独占市場であった国内通信市場と国際電信電話株式会社の独占市場であった国際通信市場に競争原理が導入された。その後、事業者間の活発な競争を経て、通信産業は我が国有数の成長産業として大きく発展した。通信市場での競争進展は、また、通信サービスの低廉化や通信ネットワークの整備・高度化等を通じて様々な形でのICT利活用を促し、国民生活の利便性を飛躍的に向上させるとともに、インターネット関連サービス等を含む多種多様な「ICT産業」の創出につながった。 本章では、こうした通信自由化以降のICT産業の発展を多角的に振り返る。具体的には、まず第1節において、通信自由化以降の制度、サービス、市場の変遷を時系列に沿って概観する。続く第2節では、過去30年間でのICT産業の成長をデータに基づき定量的に評価する。最後の第3節では、ICT産業の構造がどのように変化してきたかを分析する。