3 第3期―ブロードバンドとスマートフォンの時代 2005年から現在までの時代においては、インターネット上には様々なサービス(コンテンツ・アプリケーション)が出現し、成長してきた。またそれらのサービスの提供を支えるサービス(プラットフォーム)も成長し、ICTサービスは大きくその全体像を変化させている。このため、現在は、ICTインフラ整備中心の時代からICTインフラ整備に加えてICTの本格的な利活用の時代へ移る過渡的な時代と位置付けられる。すなわち、あらゆるモノがネットワークにつながり、そこから生成されるビッグデータを利活用することで様々な価値が創造されるIoT時代が到来しつつあるのが現在であり、IoT時代に向けての課題が明らかになってきた時代でもある。 我が国においては、IoT時代に向けて、まずはビッグデータが円滑に流通することができるICTインフラの構築に取り組むことがますます重要となっている。 一方、通信サービスは、ブロードバンドサービスを中心に提供されており、固定網とモバイル網をユーザーが自らのニーズに合わせて使い分けるようになってきている。固定網を使わず、モバイル網だけでインターネットサービスを利用するユーザーも出てきている。 固定通信事業者の視点から見れば、電話の時代、通話市場と加入市場という2つの市場から収入を上げていたが、そのうち、通話市場は通話サービスそのものが他のサービスに代替され、急速に縮小し、そのほかのインターネットサービスが成長し、上位レイヤー市場として成長している。固定通信は、加入市場が主たるビジネスになり、売上規模を縮小させてきた。一方、移動通信は、現在、通信事業者にとって最大の収益源であるが、そのモバイルサービスも徐々にではあるが、Skypeなどの無料アプリで代替されており、音声ARPUが急激に縮小する中で、データARPU等の増加による収益性の向上を図っているところである。 昨今のスマートフォンやタブレット端末の普及は関連市場を数多く生み出し、また企業のICT化はクラウドサービス等により新たな展開が出てきているため、量的な側面だけでなく、質的な側面においてもICT産業は日本経済の中で存在感を増している。