(5)電子マネーの普及 個人の取引活動におけるICT化進展の一例として、電子マネーの普及も挙げることができる。電子マネーはクレジットカードと同じく電子決済手段の一種だが、クレジットカードが取引のたびに決済情報のやりとりを行うアクセス型であるのに対して、電子マネーは取引ごとに決済情報をやりとりする必要がないストアドバリュー型に分類される。ストアドバリュー型は、ICカードやパソコンにあらかじめ現金や預金と引換えに電子的貨幣価値を引き落としておき、経済活動の際に同貨幣価値のやりとりを通じて代価を支払う(図表2-1-1-16)。 図表2-1-1-16 電子決済手段の分類(出典)平成18年版情報通信白書 1996年にソニーによって開発された非接触ICカード技術「Felica」は、2001年にJR東日本のIC乗車券「Suica」へ採用されたのをはじめとして、各地の交通機関で乗車券として採用され、その結果、多くの人が非接触ICカードを携帯するようになった。また、2002年以降、大手コンビニエンスストア等で「Felica」をベースとした電子マネー「Edy」の決済システム導入が進み、非接触ICカードによる決済に対応した店舗の数が大幅に増加した。これらの要因により、2000年代後半以降、非接触ICカード型の電子マネーの利用が広がった。日本銀行の推計によれば、IC型電子マネーは決済件数、決済金額ともに成長を続け、2008年には決済件数で10億5,300万件、決済金額7,581億円だったのが、2014年には決済件数で40億4,000万件、決済金額で4兆140億円に達している(図表2-1-1-17)。 図表2-1-1-17 電子マネーの決済件数と決済金額の推移(出典)日本銀行「電子マネー計数(2007年9月〜2014年12月) 10 」 10 IC型電子マネーのうち、専業系(楽天Edy)、交通系(ICOCA、Kitaca、PASMO、SUGOCA、Suica)、小売系(nanaco、WAON)が対象