2 全体動向 第1章第3節でみたとおり、現在(「モバイルとクラウドによる共創と競争の時代」)のICT産業構造は、レイヤーの垂直分離と水平統合がより進展し、市場の多様化とグローバル化が急速に進む中、各レイヤーの事業者が上下のレイヤーへ進出したり、新たな付加価値を創造することを狙った他レイヤーの事業者との連携を図ったりなど、様々なビジネスモデルが混在するようになっている。以降では、このような産業構造を踏まえて、全体ならびに各レイヤーの市場動向を中心に整理する(図表5-2-2-1)。 図表5-2-2-1 各レイヤーの主要市場の規模と成長性(出典)総務省「グローバルICT産業の構造変化及び将来展望等に関する調査研究」(平成27年) グローバルICT市場における各レイヤーの主要市場に関する市場規模と成長性についてみると、レイヤーやそれを構成する市場によって異なることが分かる。規模の観点からは、通信レイヤーにおける移動体サービス(音声)は、非常に大きいが、今後は成長が鈍化し縮小していくことが予測される。他方で、移動体サービス(データ)は、現状では移動体サービス(音声)より小さいが、成長率が高く今後の更なる拡大が期待される。加えて、移動体サービス(データ)の拡大に伴い、モバイル向けeコマースやコンテンツ・広告といったモバイル向けの市場や、クラウドサービス市場の成長性も注目されるところである(図表5-2-2-2)。 以降では、各レイヤーの動向について詳しく整理する。