(3)更なるICTの進化に向けた課題 以上のような変化を踏まえた上で、今後、ICTがその可能性を十分に発揮できるようにするためには、以下の3点が特に重要になると考えられる。 1点目は、急増するビックデータの流通を可能とするネットワーク基盤の構築である。既にみたようにネットワーク分野ではこれまでも急速な大容量化が進んできたが、IoT時代におけるデータ流通量の爆発的な拡大を見据えた場合、更なるブレイクスルーが求められている。モバイルアクセスにおける5G 7 /Beyond5Gの実現に加えて、基幹網についても、マルチコアファイバー 8 や光多値伝送 9 などの革新的技術の確立が求められている。 2点目は、多様なIoT端末が自律的に動くことを可能にするプラットフォームの構築である。産業用ロボット、家庭用ロボット、自動走行車等のあらゆる機械がセンサーにより自らの位置情報、姿勢情報や加速度情報、周辺の外部情報等を把握し、自律的に動くようになると予想されるが、その円滑な実現のための技術やルールの確立が求められている。 3点目は、「社会全体のICT化」に対応したセキュリティ・耐災害性の強化である。IoT化の進展により、交通システム・物流システムをはじめとした様々な社会システムがICTによる最適制御の対象となっていくと予想される。こうした「社会全体のICT化」が進む中で、ICTシステムのセキュリティ・耐災害性の強化はこれまで以上に重要な課題となってくる。 以上を図示すると右図のようになる(図表6-1-1-7)。 図表6-1-1-7 更なるICTの進化に向けた課題 7 第4世代移動通信システム(LTE-Advanced)の次の世代の移動通信システム。 8 1本に複数のコア(光の通り道)を配置した光ファイバー。 9 光の波形を高速かつ高精度に制御して通信を行う光伝送技術。