2 電気通信サービスの提供状況・利用状況 (1)提供状況 ア 概況 (ア)電気通信サービスの加入契約数の状況 ●固定電話の契約数は減少傾向にあるが、移動通信及び0ABJ型IP電話の契約数は一貫して増加 固定電話(NTT東西加入電話(ISDNを含む)、直収電話 4 及びCATV電話。0ABJ型IP電話を除く。)が減少傾向にある一方、移動通信(携帯電話及びPHS)及び0ABJ型IP電話は堅調な伸びを示している。また、050型IP電話は、近年横ばいで推移している。 移動通信の契約数は、固定電話の契約数の約5.6倍となっている(図表7-2-2-1)。 (イ)ブロードバンド整備状況と利用状況 ●超高速ブロードバンド利用可能世帯 5 率は平成26年3月末時点において99.9%となっている 平成26年3月末時点において、超高速ブロードバンド利用可能世帯数は5,553万世帯であり、利用可能世帯率は99.9%である。また、ブロードバンド利用可能世帯数 6 は5,557万世帯、利用可能世帯率は100%となっている(図表7-2-2-2)。 ●ブロードバンド利用率は13〜19歳において70.8%と世代別で最大 自宅のパソコン等 7 を使ってインターネットを利用する際にブロードバンド回線 8 を利用している人の割合は、平成26年末時点で、6歳以上人口全体の51.7%、自宅のパソコン等を使ってインターネットを利用する人の96.4%となっている。年代別のブロードバンド利用率は13〜19歳において70.8%、次いで40〜49歳において68.1%となっている。 また、所属世帯年収別の利用率は、400万円以上の世帯の層において5割を超えている。自宅のパソコン等を使ってインターネットを利用する人のブロードバンド利用率をみると、所属世帯年収が低い200万円未満の層で91.9%であり400万円未満の世帯とその他で若干の差が見られる(図表7-2-2-3)。 ●移動系超高速ブロードバンド契約数は年々大幅に増加しており、中でもBWAは前年度比で2倍以上の増加 平成26年度末の固定系ブロードバンドの契約数 9 は、3,680万件(前年度比2.7%増)、移動系超高速ブロードバンドの契約数のうち、3.9G(LTE)は6,778万件(前年度比46.0%増)、BWAは1,947万件(前年度比160.9%増)となっている(図表7-2-2-4)。FTTHとDSLの契約純増数の推移をみると、DSLは純減傾向が続いている一方、FTTHは一貫して純増している(図表7-2-2-5)。また、近年BWAサービスの契約数が増加している(図表7-2-2-6)。 デジタル化されたケーブルテレビ施設は、テレビジョン放送サービスのほか、インターネット接続サービス及びIP電話サービスといういわゆるトリプルプレイサービスを提供する地域の総合的情報通信基盤となっている。ケーブルテレビ網を利用したインターネット接続サービスは、平成26年度末時点で328社が提供し、契約数は、643万件となっている(図表7-2-2-7)。 イ 固定系音声通信 (ア)固定電話市場 10 ●固定電話(NTT東西加入電話、直収電話、CATV電話及び0ABJ型IP電話)市場における全加入契約数は緩やかな減少傾向 固定電話(NTT東西加入電話、直収電話、CATV電話及び0ABJ型IP電話)市場における全契約数は平成26年度末時点で5,619万(前年度比0.6%減)であり、引き続き減少傾向となっている。 固定電話市場の全契約数が全体として減少傾向にある一方、0ABJ型IP電話は増加傾向にあり(前年度比7.4%増)、固定電話市場全体に占める割合も50.6%となっている(図表7-2-2-8)。固定電話から0ABJ型IP電話を除いた契約数は2,773万であり、初めて0ABJ型IP電話の契約数(2,846万)を下回った。 また、加入電話及びISDNの事務用と住宅用それぞれの傾向をみると、事務用、住宅用の加入電話、ISDNともに加入契約数が減少している 11 (図表7-2-2-9)。 (イ)公衆電話 ●公衆電話施設数は一貫して減少 平成26年度末におけるNTT東西の公衆電話施設数は、減少が続き、18.4万台(前年度比6.1%減)となっている。これは、携帯電話の急速な普及により、公衆電話の利用が減少していることが背景にある(図表7-2-2-10)。 (ウ)IP電話の普及 ●IP電話の利用数は平成26年度末で3,564万件であり、特に0ABJ型IP電話の増加傾向が顕著 IP 電話サービスは、インターネットで利用されるIP(Internet Protocol)を用いた音声電話サービスであり、ブロードバンド(インターネット)サービスの付加サービスの形態を中心に提供されている。(図表7-2-2-11)。 IP電話は付与される電話番号の体系の違いによって次の二つに大別される。 A 050型IP電話 050番号を用い、インターネット接続サービスの付加サービスとして提供され、同じプロバイダもしくは提携プロバイダの加入者間の通話料は無料であることが多い。一方で、緊急通報(110、119等)を利用できない点や、通話品質の基準が加入電話に比べて低いといった点もある。 平成26年度末における利用数は、718万件となっている。 B 0ABJ型IP電話 0ABJ型IP電話は、加入電話と同じ0ABJ番号を用い、加入電話と同等の高品質な通話や緊急通報(110、119等)を利用できるなどの特徴がある。 平成26年末における利用数は、2,846万件あり、増加傾向が顕著である。 ウ 移動系通信 ●移動系通信の契約数は毎年増加。また、移動系通信の契約数の内数であるMVNOサービスの契約数も増加傾向 平成26年度末における移動系通信(携帯電話、PHS及びBWA)の契約数 12 は1億5,722万(前年度比1.6%増)である。純増数は、245万となっており、引き続き増加傾向である(図表7-2-2-12)。 また、同契約数における事業者別シェア(グループ別)について、NTTドコモは42.4%(前年度比0.2ポイント増)、KDDIグループは28.6%(前年度比0.5ポイント増)、ソフトバンクグループは29.0%(前年度比0.7%減)となっている(図表7-2-2-13)。 MVNOのサービスの契約数 13 は、952万(前年度比28.9%増)と増加傾向である(図表7-2-2-14)。 エ 専用線等 ●近年、国内専用線の回線数が減少する一方で、IP-VPNサービス及び広域イーサネットサービスの契約数は増加の傾向 平成25年度末における国内専用サービスの回線数は、42.2万回線である。内訳は、一般専用(帯域品目)が23.2万回線、一般専用(符号品目)が2.4万回線といずれも前年度より減少している。高速デジタル伝送も前年度に比べ0.6万回線減少し、16.6万回線となっている(図表7-2-2-15)。 国際専用サービスの回線数は、1,737回線である。全ての回線が主にデータ伝送、高速ファイル転送及びテレビ会議に利用されている中・高速符号伝送用回線 14 である(図表7-2-2-16)。 一方、IP-VPNサービスや広域イーサネットサービスの契約数は増加傾向となっており、平成26年度末で、IP-VPNサービスは53.5万契約、広域イーサネットサービスは45.5万契約となっている(図表7-2-2-17)。 オ 電気通信料金 (ア)国内料金 ●固定通信料金の水準は平成17年以降ほぼ横ばい、移動通信料金については減少傾向で推移 日本銀行「企業向けサービス価格指数(平成17年基準)」によると、固定電話はほぼ横ばい、移動電話は減少傾向にある。平成17年と比較すると固定電話は1.0ポイント微増、携帯電話とPHSを合わせた移動電気通信の料金は39.4ポイント減となっている(図表7-2-2-18)。 (イ)通信料金の国際比較 ●東京の携帯電話の料金は、音声・メール・データ利用では高い水準 通信料金を東京(日本)、ニューヨーク(米国)、ロンドン(英国)、パリ(フランス)、デュッセルドルフ(ドイツ)、ストックホルム(スウェーデン)、ソウル(韓国)の7都市について比較すると、固定電話の料金では、加入時一時金が、東京は最も低廉な水準となっているものの、基本料金については、東京は7都市中4番目の水準にある。また、東京の平日12時の市内通話料金は、2番目に低廉な水準にある(図表7-2-2-19)。 携帯電話の料金では、フィーチャーフォンユーザについて、東京は2番目に低廉な水準である。また、スマートフォンユーザについて、一般ユーザでは東京4番目に高い水準で、ライトユーザでは東京は2番目に高い水準である(図表7-2-2-20)。 4 直収電話とは、NTT東西以外の電気通信事業者が提供する加入電話サービスで、直加入電話、直加入ISDN、新型直収電話、新型直収ISDNを合わせた総称をいう。 5 超高速ブロードバンド利用可能世帯数は、FTTH、CATVインターネット、FWA、BWA、LTEの利用可能世帯数の合計(FTTH及びLTE以外は下り30Mbps以上のものに限る)。 6 ブロードバンド利用可能世帯数はFTTH、DSL、CATVインターネット、FWA、衛星、BWA、LTE、3.5世代携帯電話の利用可能世帯数の合計。 7 自宅のパソコン、タブレット型端末、インターネットに接続できるテレビ・家庭用ゲーム機・その他の機器を含む。 8 光回線(FTTH)、ケーブルテレビ回線(CATV回線)、DSL回線、第3世代携帯電話回線、固定無線回線(FWA)及びBWAサービスのいずれか。 9 固定系ブロードバンドの契約数は、FTTH、DSL、CATV及びFWAの契約数の合計。 10 「電気通信分野における競争状況の評価2013」においては、固定電話領域におけるサービス市場の画定については、各々の市場における利用者の用途、市場の需要代替性の有無等を勘案し、加入電話については、NTT東西加入電話(ISDNを含む。)、直収電話(直加入、新型直収、直収ISDN)、CATV電話及び0ABJ型IP電話の各サービスをあわせて1つの市場とみなし、「固定電話市場」としている。 11 事務用と住宅用の加入者数はNTT東西に関する状況のみを示している。 12 グループ内取引調整後の数値 13 MNOであるMVNOの契約数を除いた数値 14 通信速度1,200bps〜10Gbpsの回線で、主にデータ伝送、高速ファイル転送に利用。 15 加入時に施設設置負担金(36,000円)の支払いを伴わないプラン。施設設置負担金を支払う場合に比べ、月額250円が基本料に加算される。