1 ICTが我が国の経済成長に貢献し得る経路の体系的整理 前節で挙げた我が国が抱える課題との対応関係を踏まえながら、ここではICTの経済貢献経路について体系化して説明する。少子高齢化や人口減少が進む中で中長期的な経済成長を実現していくためには、供給面では、「企業の生産性向上」と「労働参加拡大と労働の質向上」が重要であることを述べた。前者については、企業活動の観点から「@ICTに係る投資」及び「AICTに係る利活用」へさらに分解することができる。後者については、労働投入量(人数×時間)についてか単位あたりの労働力についてかという観点から「BICTに係る労働参画の促進」及び「CICTに係る労働力向上」に分解することができる。需要面では、「新たな商品やサービスの創造」と「グローバル需要の取り込み」が重要であることを述べた。前者については、ICTが直接的あるいは間接的に係るかの観点から「DICTに係る商品・サービスやビジネスの創出」及び「EICTを通じた消費の促進」へ分解できる。後者については、需要の内需・外需の別から「FICTに係る輸出や海外投資」及び「GICTを活用したインバウンド需要の喚起」に分けられる(図表1-2-1-1)。 図表1-2-1-1 ICTによる経済貢献経路 (出典)総務省「IoT時代におけるICT産業の構造分析とICTによる経済成長への多面的貢献の検証に関する調査研究」(平成28年) 以降では、これらの順番に、具体的に説明していく。