2 データトラヒックの拡大 前項でみたインターネットに接続するモノの増加、またインターネットの世界的な普及や様々なサービス・アプリケーションの登場等により、ネットワークを流通するデータトラヒックの量は飛躍的に増大している。医療や政府情報等を含むあらゆる情報のデジタル化、スマートフォン・タブレットの普及や利活用拡大、LTE等の4Gの普及、HD(高精細)ビデオなどの高品質なコンテンツの流通など、あらゆる要因がデータトラヒック量の増大に寄与している。 米シスコによれば、とりわけ、モバイルデバイスからのトラヒックが大きく伸びると見込まれており、固定及び有線(パソコン等の固定系通信かつ固定端末)のトラヒック量は、2014年時点で全体のトラヒックに占める割合が55%であったのに対して、2019年には34%にとどまり、残りをモバイルデバイス(Wi-Fi機能のみのデバイスを含む)からのトラヒックが占めると予測している(図表2-1-2-1)。 図表2-1-2-1 世界のトラヒックの推移及び予測 (出典)Cisco VNI Mobile、2016年 特に、2015年時点での世界のモバイル通信によるデータトラヒックに注目してみると、過去10年間で約4,000倍、過去15年間ではほぼ4億倍に増加したという。さらに、2015年から2020年にかけて年平均成長率53%と引き続き拡大が予想されている。そのうちスマートフォン(ファブレット 3 含む)が占める割合は76%から81%へと拡大する。一方、M2Mは3%から7%へ拡大するものの、全体を占める割合は低い(図表2-1-2-2)。このように、M2Mは、図表2-1-1-3でみたデバイス数として占める割合の増加に比べると、トラヒックに占める割合の変化は小さい。 図表2-1-2-2 世界のモバイルデータトラヒックの推移及び予測 (出典)Cisco VNI Mobile、2016年 米シスコ社によれば、2015年時点で全世界のモバイルデバイスとモバイル接続の36%をスマートデバイス 4 が占め、前述のモバイルデータトラフィックの89%はスマートデバイスによるものであるとしている。その中心であるスマートフォンの利用増により、2020年までにスマートフォンのモバイルデータトラヒックが全体の5分の4を超えると予測している。また、全世界のモバイルデータトラヒックの4分の3がビデオによるトラヒックになると予測している(図表2-1-2-3)。 図表2-1-2-3 世界のモバイルデータトラヒック(アプリケーション別)の推移及び予測 (出典)Cisco VNI Mobile、2016年 3 フォン(phone)とタブレット(tablet)を組み合わせた語(phablet)で、スマートフォンとタブレット端末の中間程度のおよそ5〜7インチぐらいのスマートフォンを指す。 4 シスコ社が定義する「スマートデバイス」とは、第3世代携帯電話システム以降の接続機能を持ち、高度なマルチメディア機能とコンピューティング機能を搭載したモバイル接続を指す。