(3)IoT関連市場に対する見方 IoTによって、今後自産業・業界における市場規模がどの程度拡大するかの予測(=市場拡大に対するIoTへの期待)を聞いたところ、日本企業は他国企業と比べて、総じて低い水準の回答となっている。また、日本企業では、ICT企業と非ICT企業の差が大きく、非ICT企業においてIoTへの期待が低い傾向がうかがえる(図表2-3-3-4)。こうしたIoTへの期待の差が、結果的に、前述したIoTの導入率や投資状況が他国と比べて低い傾向にある要因の一つであると推察される。 図表2-3-3-4 2020年におけるIoTによる自産業の市場拡大に関する予測 (出典)総務省「IoT時代におけるICT産業の構造分析とICTによる経済成長への多面的貢献の検証に関する調査研究」(平成28年) IoTを導入しない理由について、日本企業を業種別に深掘りしてみると、情報通信、流通・小売、エネルギー・インフラ、農林水産業については、プロダクトでの「利活用場面が不明」が高く出ており、プロダクトにおけるIoT化の具体的なイメージがまだ浸透していないことが示唆される。製造業においては、これに加えて「資金不足」を指摘している。これは、IoTに係る市場や事業が具体的に見えていない段階では、自社での予算化や資金調達が進まないといった、企業のジレンマがうかがえる。他方、サービス業については、こうした課題よりも、「効果に疑問」と回答した企業が多く、費用対効果を重視している傾向が強い(図表2-3-3-5)。 図表2-3-3-5 日本企業におけるプロセス・プロダクトのIoT化を進めない理由(業種別) (出典)総務省「IoT時代におけるICT産業の構造分析とICTによる経済成長への多面的貢献の検証に関する調査研究」(平成28年) 次に、IoTの進展に伴い重視する企業間の連携について、日本企業を業種別に見てみる。これまではICT産業と非ICT産業のICT部門との連携が主であったが、ICT産業と非ICT産業の事業部門が連携することになる等、企業間の連携の在り方が変化することが想定される。アンケートの結果では、日本においては情報通信業が新規(新たに連携する企業)、既存(従来連携してきた企業)に関わらず異業種との連携を重視している一方で、製造業は同業種内での連携を重視しており、業種間でのスタンスの違いが浮き彫りになっている(図表2-3-3-6)。 図表2-3-3-6 日本企業におけるIoTの進展に伴い重視する企業間連携(業種別) (出典)総務省「IoT時代におけるICT産業の構造分析とICTによる経済成長への多面的貢献の検証に関する調査研究」(平成28年)