(4)IoT進展に係る課題 次に、各国におけるIoTの推進等に係る課題について比較する。IoTに係るインフラ整備の面は諸外国で共通の課題となっている。他方、新規市場の創出や資金調達面については、国ごとに課題認識にばらつきがあり、その違いが各国のIoT進展度に影響を与えている可能性がある。とりわけ日本企業においては、他国と比べて「人材育成」に対する課題認識が高い傾向がある(図表2-3-3-7、図表2-3-3-8)。 図表2-3-3-7 IoTの進展に係る課題の平均と変動係数 * (出典)総務省「IoT時代におけるICT産業の構造分析とICTによる経済成長への多面的貢献の検証に関する調査研究」(平成28年 図表2-3-3-8 各国IoTの進展に係る課題 (出典)総務省「IoT時代におけるICT産業の構造分析とICTによる経済成長への多面的貢献の検証に関する調査研究」(平成28年) こうした課題認識について、日本企業を業種別でみてみると、ばらつきがあることが分かる。 農林水産業においては、同産業向けのIoTソリューションとしては土壌センサー等のセンサー普及が鍵を握っているが、まだ整備・普及段階であることから「センサー・端末の普及」と回答している割合が高い。 情報通信においては、「データ流通に係るルールの整備」の割合が高く、これはIoTに係るデータ流通を担う立場の企業が多いことが背景にあると考えらえる。加えて「人材育成」の回答が他産業と比べても高い傾向が見られ、IoTに関する専門知識の他、異業種連携やビジネスプロデュースが不可欠であるという認識が背景にあると考えられる(図表2-3-3-9)。 図表2-3-3-9 日本企業におけるIoTの進展に係る課題(業種別) (出典)総務省「IoT時代におけるICT産業の構造分析とICTによる経済成長への多面的貢献の検証に関する調査研究」(平成28年)