(4)ネットショッピングにおける購入品目、利用理由 インターネットの普及に伴い、インターネットを通じた商品・サービスの購入も広がっている。総務省「家計消費状況調査結果」によると、我が国の二人以上の世帯においてネットショッピングを利用する世帯の割合は、2002年には5.3%だったものが2015年には27.6%に、1世帯当たりのネットショッピングでの月間支出額(ネットショッピングを利用した世帯に限る)は、31,310円へと増加している。 図表3-2-2-8 ネットショッピングの利用世帯割合と1世帯当たりの支出金額の推移 (出典)総務省「家計消費状況調査結果」 ネットショッピングの我が国経済へのインパクトについては、第1章第2節にても取り上げたが、ここでは、国別にインターネットを通じてどのような商品が購入されているのか、またネットショッピングを利用する理由や利用しない理由を見ることとする。 実店舗よりもネットショッピングにて購入する商品 9 に注目し、各国の回答割合の高くなった商品を上位3番目までについて見ると、「切符/チケット」「CD/DVD/BD類」「本」「小型家電(タブレット・PC周辺機器・ドライヤーなど)」が選択される傾向にあることが分かる。国によって利用率に差はあるものの、上記のような商品がネットショッピングでよく購入されているという実態がうかがえる(図表3-2-2-9)。 図表3-2-2-9 インターネットから買うことが多い商品 (出典)総務省「IoT時代における新たなICTへの各国ユーザーの意識の分析等に関する調査研究」(平成28年) 以降では、ネットショッピングを利用する理由やネットショッピングのメリットについてみることとする。 中国を除く7か国においては「実店舗に出向かなくても買物ができる」、「24時間いつでも買物ができる」を1、2番目の理由として挙げていた。中国では、「実店舗よりも安く買える」が最も高くなった。 3番目に高くなったメリットは3パターンに分かれた。日本、英国、韓国、オーストラリアでは「実店舗よりも安く買える」であり、ドイツ、中国では「実店舗よりも品揃えが豊富」、米国、インドでは「実店舗に行く時間を節約できる」となった。 全般的には、ネットショッピングが利用される理由は、「実店舗に出向かなくても買物ができる」、「24時間いつでも買物ができる」、「実店舗よりも安く買える」「実店舗よりも品揃えが豊富」、「実店舗に行く時間を節約できる」ということがわかる。 図表3-2-2-10 ネットショッピングを利用する理由やネットショッピングのメリット (出典)総務省「IoT時代における新たなICTへの各国ユーザーの意識の分析等に関する調査研究」(平成28年) 図表3-2-2-11 ネットショッピングを利用しない理由やネットショッピングのデメリット (出典)総務省「IoT時代における新たなICTへの各国ユーザーの意識の分析等に関する調査研究」(平成28年) ネットショッピングと実店舗等のリアルとを連携させたO2O(オー・ツーオー)サービスが我が国においても提供され始めている。ここではO2Oサービスのいくつかのパターンを提示し、それぞれの類型について利用経験、利用意向を尋ねた 10 。「普段、近所の実店舗で購入している食料品や日用品を、その企業のインターネットショッピングサイトから購入し、配送してもらう」について全体(加重平均)の値を見ると、我が国は凡例@の「利用したことがあり今後も利用したい」が34.9%、BDの「利用したことはないが今後利用してみたい」が合計で27.2%となっている。米国、英国と比較して利用率(凡例@)は必ずしも高くないが、今後利用意向のある者(凡例BD)は韓国中国に次いで比較的高く、凡例A(利用したことがあるが今後利用したいとは思わない)も6.4%にとどまっており、同サービスの利用は現状から増加する余地があると考えられる。 次に、我が国の年齢別の利用率をみると、3パターンいずれのO2Oサービスにおいても若年層の利用が高くなった(図表3-2-2-12)。 図表3-2-2-12 ネットショッピングとリアルとの連携サービスの利用経験・利用意向 (出典)総務省「IoT時代における新たなICTへの各国ユーザーの意識の分析等に関する調査研究」(平成28年) 9 アンケートでは、商品の類型ごとに「ネットショッピングのみ」「ネットショッピングが多い」「ほぼ一緒」「実店舗での購入が多い」「実店舗での購入のみ」「この用品を購入することはない」のいずれに該当するか質問を行った。このうち、「ネットショッピングのみ」と「ネットショッピングが多い」を足した値を「主にインターネットで買うことが多い商品」とした。 10 本設問では、凡例のとおり、利用の有無、認知の有無、利用意向の有無を尋ねており、@利用したことがあり今後も利用したいと回答した者の割合を利用率とする。