(2)IT分野の雇用促進とコンピュータ・サイエンス分野の教育強化策 オバマ政権は、2015年3月に、IT分野の雇用創出・雇用推進を目的とするTechHireイニシアティブを発表した 7 。同イニシアティブは、全国で50万人分が不足していると見られるIT職務を埋められる人材の育成、採用に1億USDの補助金を交付するもので、その半分は17〜29歳を対象にしている。補助金は、労働省から交付され、サイバーセキュリティやソフトウェア開発、ネットワーク管理といった従来的な教育分野だけでなく、コーディング・ブートキャンプやオンライン・コースなどの新たな教育方法にも補助金が付与される。なお、同イニシアティブに関連して、全国20以上の自治体が、企業と協力して人材の育成・採用を進めていく方針を打ち出している。 法制度整備も進展しつつあり、コンピュータ・サイエンスを重要科目指定する「全児童・生徒学業達成法(Every Student Succeeds Act:ESSA)」が2015年12月に発効した 8 。同法は、初等中等教育の底上げを図った「No Child Left Behind Act」を大幅に改正し、学力テストの州の自主裁量を認めた点や、幅広い豊かな教育に必要な科目構成(well-rounded education)のなかにコンピュータ・サイエンスが初めて位置づけられたことが注目されている。これにより、コンピュータ・サイエンスが、同法が定める達成度の低い学校への改善支援や、教員の支援の対象に含まれるため、コンピュータ・サイエンスの授業の導入が進展するとみられている。 7 https://www.whitehouse.gov/issues/technology/techhire 8 https://www.whitehouse.gov/the-press-office/2015/12/10/white-house-report-every-student-succeeds-act、 http://www.ncsl.org/documents/capitolforum/2015/onlineresources/summary_12_10.pdf なお、同法には、http://edworkforce.house.gov/uploadedfiles/every_student_succeeds_act_-_conference_report.pdfからアクセス可能。