3 中国のICT政策の動向 中国の今後5年間の政策目標を定める「国民経済と社会発展第13次5ヵ年規画綱要」が、2016年3月、第12期全人代第4回会議において採択された。その中で、ICT政策については、第6編「ネットワーク経済空間の開拓」において、@広範囲・高効率な情報ネットワークの構築、A現代インターネット産業体系の発展、B国家ビッグデータ戦略の実施、Cサイバーセキュリティの強化の4章が盛り込まれている。 具体的には、@情報ネットワークの構築については、次世代高速光ファイバ網の整備、4G等のモバイルブロードバンド網の構築、5G等のコア技術の研究開発推進、ブロードバンド料金低廉化等が打ち出されている。なお、インターネット普及率は、第13次5ヵ年規画期間における経済社会発展主要指標の一つとされ、2020年までに固定ブロードバンド家庭普及率70%、モバイルブロードバンドユーザー普及率85%という目標が掲げられている。 A現代インターネット産業体系の発展に向けては、クラウドコンピューティングや物聯網 35 の促進、多様な分野における「インターネット+」の推進を打ち出すとともに、B国家ビッグデータ戦略として、政府によるオープンデータの推進やビッグデータ産業の健全な発展に取り組むこととしている。 Cサイバーセキュリティの強化については、個人データの保護をはじめデータ資源の安全保護の強化、実名認証制度やネットワーク安全審査制度によるネットワーク空間の管理、重要インフラ保護制度や重要情報システム監督体制の構築等が打ち出されている。 35 物聯網(ぶつれんもう):「人」と「人」だけでなく、「人」と「モノ」、「モノ」と「モノ」をつなぐことにより、生活の様々な場面でICTの利便性を享受することのできる社会を目指す、中国における戦略の総称。