第1章 スマートフォン経済の現在と将来 今回の情報通信白書は、ネットワークとデータが創造する新たな価値に着目し、特集のテーマを「データ主導経済と社会変革」と設定している。本論への導入に当たり、第1章では「スマートフォン経済の現在と将来」について述べる。 最初にスマートフォンに着目する理由として、インターネット上の行為は、オンラインプラットフォームやポータルサイトを経由するとともに、様々な無料・有料のサービス利用時に登録を伴い、身近なインターネット接続機器であるスマートフォンからは、膨大なデータが生成されることが挙げられる。 スマートフォンの普及状況は、どのようなものだろうか。2017年に入り、全世界での利用台数は40億に達していると推計されている。スマートフォンは、地域・世代・収入等による差異はあるものの、今や世界中でインターネット接続に最も使われている機器といえる。ただし、スマートフォンがそのような位置付けとなったのはごく最近のことだ。代表的な機器に挙げられるiPhoneが初めて米国で発売されたのは2007年のことで、わずか10年前のことである。 スマートフォンの特徴は、多重的な機能と利便性にある。小さなパソコンと携帯電話の両方の性格を有するので、使い道は個々人・世代によって大きく異なる。若年層であればSNSや動画視聴、ゲームに多くの時間を割く傾向にある。また、30歳代から50歳代にかけてはネット検索やショッピング、バンキング等の消費活動、高齢層であれば携帯電話の延長で通話やメール等のコミュニケーションに使われることが多い。 本章第1節では、我が国におけるスマートフォンの利用状況を主に数量面から確認していく。続いて第2節では、多種多様なスマホ関連サービスがこれまでに生まれ、経済活動として確立しているかを見ていく。第3節では、スマートフォン上のサービス・アプリケーション利用のために不可欠なオンラインプラットフォームの影響力と意義について述べる。