(3)新たなデータ流通モデルに対する認識 前節で紹介した、パーソナルデータストア(PDS)や情報銀行に代表される新たなパーソナルデータ利用の仕組みに対するニーズ等について、個人と企業の認識を再び国際比較を通じて検証してみる。 ア 個人 PDS・情報銀行に対する利用意向比率(「是非利用したいと思う」又は「やや利用したいと思う」と回答した割合)を見ると、調査対象6ヶ国のうち米・英・独・中の4ヵ国は3割を超えているのに対し、日・韓両国は3割を下回った。前者のうち米国の個人はとりわけ利用意向比率が高く45.7%、後者のうち日本の利用者は19.2%にとどまり、対照的である(図表2-2-5-5)。 図表2-2-5-5 PDS・情報銀行に対する個人の利用意向 12 (出典)総務省「安心・安全なデータ流通・利活用に関する調査研究」(平成29年) 図表2-2-5-6は、各国の個人がPDS・情報銀行に対して消極的な理由を表している。6ヶ国全般で共通するのは、「自らの責任範囲や負担が大きい」という理由が高いことである。一方で「自分自身が情報を管理するより企業等に任せた方が安心」という点については日本は6か国で最も低く、個人情報を管理する上で企業に対する信頼性も課題として浮き彫りとなった。 図表2-2-5-6 PDS・情報銀行に対して消極的な理由 (出典)総務省「安心・安全なデータ流通・利活用に関する調査研究」(平成29年) イ 企業 日本企業(一般・ITAC)と米・英・独の各国企業との比較を行う。まず、両者の認知度(「知らない」以外の回答割合の和)は、米・英・独では8割超であったのに対し、日本企業は4割程度にとどまった。 また、PDS・情報銀行に「期待している」という回答割合は、米・英・独では65%超であったのに対し、日本企業は3割から4割程度にとどまった。日本企業の中でITAC企業は一般企業より認知度、期待度ともに高い(図表2-2-5-7、図表2-2-5-8)。 図表2-2-5-7 PDS・情報銀行の企業の認知度 (出典)総務省「安心・安全なデータ流通・利活用に関する調査研究」(平成29年) 図表2-2-5-8 PDS・情報銀行の企業の期待度 (出典)総務省「安心・安全なデータ流通・利活用に関する調査研究」(平成29年) このように、日本の国民の間でPDS・情報銀行への利用意向が限定的であることに加え、我が国企業は総じてこれらの新たなデータ流通モデルに対する関心が未だに薄く、今後の「個人情報を含むデータ」の流通に向けては課題が残る。 12 アンケート調査では従来のパーソナルデータ利用の仕組みとの違い及びメリット・デメリットを補足の上聴取した。