(6)端末 最後に端末レイヤーについて、従来のICT市場の代表的品目であるスマホ等、また新たなIoT市場における関連品目について整理する。 ア スマホ・タブレット 2015年前半はBRICsと北米市場が市場を牽引してきたが、現在はASEAN、中南米、アフリカが市場の牽引役になっている。中国やインドなどの巨大市場で出荷の伸びは鈍化傾向にある。特に中国では需要の一巡と供給過多が発生、2015年以降新規需要は急速にスローダウンした。現在、スマートフォン市場が立ち上がっているインドもインフラの遅れや端末価格が一般ユーザーにとって高額であることから伸び悩んでいる。主要市場では需要が一巡、今後は買い替え需要に移行し、2020年の予測は16億6548万台で、頭打ちになると予測している(図表3-3-3-18、図表3-3-3-19)。 図表3-3-3-18 世界のスマートフォンの出荷金額推移及び予測 (出典)IHS Technology 図表3-3-3-19 世界のタブレットの出荷台数推移及び予測 (出典)IHS Technology PC市場については、デスクトップ、ノートともに世界市場は成熟しており、買い替え需要が中心でここ数年間マイナス成長が続いている。新しいカテゴリとして台頭したミニノートPCは2014年まで市場が拡大してきたが、スマートフォンや従来型PCとの競争から2015年に出荷台数はピークアウトしている(図表3-3-3-20)。 図表3-3-3-20 世界のPCの出荷台数推移及び予測 (出典)IHS Technology イ スマートシティ・スマート工場 スマートシティやスマート工場については、広範囲な定義を有する概念であるため、ここでは代表的品目として、それぞれネットワークに接続されるスマートメーター市場、及び、産業用ロボット市場についてみてみる。 世界のスマートメーター(電気)市場は、世界的にみると既に一定の規模に達しており、台数ベースでは1.5億台から、また売上高では40億ドルから今後堅調に増加していくことが予想される(図表3-3-3-21)。 図表3-3-3-21 世界のスマートメーター(電気)市場の推移及び予測 (出典)IHS Technology 世界の産業用ロボット市場の出荷は、現在114億ドル規模となっており、主要地域でほぼ等分に分散している。とりわけ、日本の出荷金額のシェアが目立つ(図表3-3-3-22)。 図表3-3-3-22 世界の産業用ロボット市場の推移及び予測 (出典)IHS Technology ウ ウェアラブル IoT時代における通信端末としてウェアラブル端末が引き続き注目される。ウェアラブル端末は、一般消費者向け(BtoC)機器では、カメラやスマートウォッチなどの情報・映像型機器や、活動量計等のモニタリング機能を有するスポーツ・フィットネス型機器などが挙げられる。業務用(BtoB)では、医療、警備、防衛等の分野で人間の高度な作業を支援する端末や、従業員や作業員の作業や環境を管理・監視する端末が既に実用化されている。ここでは、特に前者の種別でみると、情報・映像型ウェアラブル市場が特に大きく伸び、2020年には279億ドルになると予想されている。またスポーツ・フィットネス型も堅調に拡大し、同年には113億ドルにあると予想されている(図表3-3-3-23)。 図表3-3-3-23 世界のウェアラブル端末市場の推移及び予測 (出典)IHS Technology エ コネクテッドカー コネクテッドカーについては、市場のトレンドを表す明確な市場品目が限られていることから、ここでは代替指標として自動車に搭載されるセルラーモジュールの市場についてみてみる。同市場は、ネットワークへ接続されるコネクテッドカーの増加に伴い拡大し、2020年頃には現在の約2倍の11億ドルになると予想されている(図表3-3-3-24)。 図表3-3-3-24 自動車向けセルラーモジュール市場の推移及び予測 (出典)IHS Technology