(1)なぜ、テレワークなのか 第1節で見たように、現在我が国においては有効求人倍率の上昇傾向が続くとともに企業における人手不足感が強くなっている。そのため、従業員の確保、さらには労働生産性を高めることを、働き方改革に取り組む目的としてあげる企業が多くなっている(図表4-2-1-3)。 図表4-2-1-3 働き方改革に取り組む目的(複数回答)(n=2,730) (出典)総務省「ICT利活用と社会的課題解決に関する調査研究」(平成29年) 我が国では生産年齢人口の減少が進んでいるなか、労働参加率を上げるためには、女性の就業を増やす必要がある。結婚、出産、子育て等を契機に仕事を離れる女性は多いが、女性の就業の妨げとなっている要因を排除する方策として期待されているのがテレワークである。テレワークを利用することで、家族と共に過ごしたり、育児や家事にあてたりする時間を増やすことができる(図表4-2-1-4)。 図表4-2-1-4 テレワークを利用する事で変化したプライベートの時間(複数回答) (出典)厚生労働省「平成26年度テレワークモデル実証事業」(従業員アンケート) 企業側から見てもテレワークは従業員の確保に有効と考えられる。テレワークを導入済みの企業と未導入の企業についてそれぞれ従業員が増加傾向と答えた企業の割合から減少傾向と答えた企業の割合を引いたDI(Diffusion Index)を計算すると、テレワーク導入済み企業では直近3年間および今後3年間の両方において10ポイント以上のプラスであったのに対し、テレワーク未導入の企業ではいずれもマイナスであった(図表4-2-1-5)。場所にとらわれない自由な働き方が可能である環境を整備する事は、労働参加率の向上にプラスに働くものと推測される。 図表4-2-1-5 テレワークの導入状況と従業員数の増減に関するDI (出典)総務省「ICT利活用と社会的課題解決に関する調査研究」(平成29年)