(5)端末 「端末」は、エンドユーザー向けでは主に固定通信を利用するパソコンが普及した後、移動通信を利用するタブレットとスマートフォンの利用が広がってきた。その後、眼鏡や腕輪として身に着けるウェアラブル端末が開発され利用が進んできている。 また、従来のインターネット接続端末に加え、様々なモノがつながるIoT化が進展したことから、エンドユーザー向け以外のスマートメーター、自動車に搭載されるセルラーモジュール等の様々な端末の利用が拡大してきた(IoTデバイスの普及状況については、本節第2項参照)。ロボットについては、ヘルスケア・介護や店舗の接客等でも利用されるサービスロボットも増加している。無人で遠隔操作や自動制御によって飛行できるドローンは高機能化と低価格化が進み、個人が趣味に使うほか、高所・遠隔地でのモニタリング等企業での活用も広がってきている。 さらに近年では、AIの発達を受けて、AIのパーソナルアシスタンス機能を活用したAIスピーカーの利用が始まっている。また、AR(Augmented Reality:拡張現実)/VR(Virtual Reality:仮想現実)端末も普及が始まっている。 ア スマートフォン・タブレット スマートフォンの出荷台数は2010年から2015年にかけて中国その他アジア市場を中心に大きく増加し、その後は安定的に増加している。今後は、緩やかな増加傾向が見込まれるが、新興国市場向けを中心に低価格な端末が増加することから、金額ベースではほぼ横ばいで推移するとみられる。日本では2017年はスマートフォンへの乗り換えや高シェアなOEMの新機種などにより、比較的台数が増加したものの、普及率が上昇した今後は買い替え中心の需要が見込まれる(図表1-1-3-16)。 図表1-1-3-16 世界のスマートフォン市場規模・出荷台数の推移及び予測 (出典)IHS Technology タブレットの出荷台数は、スマートフォンやウルトラブックといった超薄型ノートパソコンなどとの競争から、コンシューマー向けの市場で世界的に低迷が続いている(図表1-1-3-17)。 図表1-1-3-17 世界のタブレット市場規模・出荷台数の推移及び予測 (出典)IHS Technology イ ウェアラブル IoT時代における通信端末としてウェアラブル端末が引き続き注目される。ウェアラブル端末は、一般消費者向け(BtoC)機器では、カメラやスマートウォッチなどの情報・映像型機器や、活動量計等のモニタリング機能を有するスポーツ・フィットネス型機器などが挙げられる。業務用(BtoB)では、医療、警備、防衛等の分野で人間の高度な作業を支援する端末や、従業員や作業員の作業や環境を管理・監視する端末が既に実用化されている。ここでは、特に前者の種別でみると、情報・映像型ウェアラブル市場は一部のスマートフォンメーカーによるハイエンド品中心の市場から、アジア系メーカーの参入により低価格化の影響を受けたものの、今後はアプリの拡充による裾野の広がりから市場の拡大が見込まれ、2020年には97億ドルになると予想されている。また、スポーツ・フィットネス型もアジア系メーカーの参入により低価格化の影響があるものの、先進国のみならず、新興国においても健康意識の高まりやPOC(point of care)の需要から市場は緩やかに拡大し、同年には36億ドルとなると予想されている(図表1-1-3-18)。 図表1-1-3-18 世界のウェアラブル端末市場規模の推移及び予測(出典)IHS Technology ウ サービスロボット・ドローン 物流、ヘルスケア・介護、外食、店舗といった製造業以外のサービスロボットの世界市場は、省人化や人的負担の軽減等を目的として拡大が続いている。国内では物流での箱詰めやピッキング等でサービスロボットの活用が広がっているほか、店舗の接客やホテルの受付・クローク業務等一般消費者と直接的に接するサービスロボットの活用も増加している(図表1-1-3-19)。 図表1-1-3-19 世界のサービスロボット市場規模の推移及び予測(出典)IHS Technology ドローン市場では、物流、農業、通信やエネルギーその他インフラなどの高所・遠隔地でのモニタリングにプロフェッショナル(業務用)ドローンの用途が拡大を続けている。国内では特区において林業や物流におけるドローン活用や、携帯電話の基地局をドローンに搭載することで災害時における通信手段を確保するといった実証実験が進められており、今後の商用利用の拡大が期待される(図表1-1-3-20)。 図表1-1-3-20 世界のドローン市場規模の推移及び予測(出典)IHS Technology エ AIスピーカー AIスピーカー市場では、GoogleやAmazonが、生活のあらゆる場面においてOSやITプラットフォームの関与によって取得するデータと、AIによるパーソナルアシスタンス機能によって生み出される経済価値の取り込みを目的として、AIスピーカーを開発、他社に先行して市場に参入している。これに追随して、MicrosoftやLINEなどのICT企業やソニー等の機器メーカーが参入し、市場の拡大が続いている(図表1-1-3-21)。 図表1-1-3-21 世界のAIスピーカー市場規模の推移及び予測(出典)IHS Technology オ AR/VR AR/VR市場はコンシューマー向けのエンターテイメント用途と企業向けの教育・訓練用途等がともに拡大している。コンシューマー向けではゲームや観光地での疑似体験等でAR/VRが活用されている。企業向けでは、不動産会社のモデルルームを体験できるサービスや、設備点検おける作業手順のナビゲーション等にAR/VRが活用されている(図表1-1-3-22)。 図表1-1-3-22 世界のAR/VR市場規模・VRヘッドセット出荷台数の推移及び予測(出典)IHS Technology