3 消費者視点の取り込みにあたっての課題 これまでに本節で述べたように、ICTを利活用して、消費者視点で個人の需要を喚起するためには、ユーザーの消費行動や属性などを踏まえた分析は欠かせない。 しかし、総務省の平成29年通信利用動向調査では、インターネット利用時に何らかの不安を感じる利用者が平成28年調査の61.6%から、66.8%へと増加している(図表2-4-3-1)。特に、個人情報やインターネット利用履歴の漏えいについては、そのうちの89.5%が不安を感じている。 図表2-4-3-1 インターネット利用における不安とその内容(複数回答)(個人) (出典)総務省「平成29年通信利用動向調査」 今後、AI・IoTの普及により、ユーザーの消費行動などの情報を入手する場面が増えることから、個人情報の収集・活用を図るためには、企業はこのようなユーザーの不安を解消するような取組を講じなければならない。 一方、企業の個人データ取扱に関する課題については、約半数の企業が「個人データの管理に伴うインシデントリスクや社会的責任の大きさ」を挙げていることから、それらは、個人データ取扱の重要性は認識しているものと考えられる(図表2-4-3-2)。他に、「個人データの収集、管理にかかるコストの増大」、「データを取り扱う人材の不足」、「個人データの定義が不明確」を課題に掲げる企業も2割を超えている。 図表2-4-3-2 個人データ取扱・活用に関する課題(企業) (出典)総務省「平成29年通信利用動向調査」 企業側の個人データ取扱に関するこれらの課題の解決が求められる。 また、プラットフォーム化の進展により、一部のプラットフォーマーがデータを寡占して適切な競争が行われず、ユーザーにとって質の高いサービスが中長期的に提供されない可能性があり、更なるデータ集中・データ支配的状況によりデータ寡占が進展すれば、サイバーだけでなくリアルの世界においても、あらゆる財・サービスの競争環境に影響が及ぶことになる。