第3章 ICTによる生産性向上と組織改革 「はじめに」で述べたとおり、我が国の総人口は既に減少に転じており、今後も人口減少のトレンドが大きく変わることはないということは国民の間でも広く認知されつつある。 平成29年版高齢社会白書によると、15〜64歳の生産年齢人口については、2016年の約7,700万人から2065年には約4,500万人に、総人口に占める割合にして約60%から約51%に減少する。総人口の減少はGDPに対してマイナスの影響を及ぼす。一方、限られた人的資源でより多くの付加価値、すなわち富を生み出すには、一人当たりのGDP(あるいは一人当たりの所得水準)を高めることが必要である。一人当たりのGDPを維持できれば国民一人ひとりが感じる豊かさは変わらないことにはなるが、総人口の減少に加えて生産年齢人口の割合も減少することが見込まれている以上、現状のままでは一人あたりGDPを維持するのは困難である。生産年齢人口の割合が減少する中でも一人当たりGDPを維持し、持続的成長を図るためには、労働参加と生産性の向上が不可欠である。それらのうち本章では、ICTの利活用による生産性の向上について述べる。