第4章 ICTによるインクルージョン促進 人口減少期に入った我が国において懸念される課題については、「人」の観点からも様々なものがある。例えば、高齢者を中心とした単独世帯の増加による社会的孤立への懸念や、女性、高齢者、障害者のようにこれまで我が国の職場環境において活躍しにくかった人々の就業である。これらの課題を解決する上で重要なのが、多様な人々を受け入れる「インクルージョン(包摂)」である。 インターネットが普及を始めてから20年以上を経て、その利用形態はパソコンから、個人が保有するスマートフォンなどのモバイル端末へと大きく変化した。現在、ソーシャルメディアなどのICTサービスが多くの人々に利用されている。本章では、これらにより「つながり」が創出されることで、多様な社会活動、多様な働き方のために複数の組織に少しずつ所属する「複属」1が可能となることにより、インクルージョンに貢献する可能性について考察する。 1 庄司昌彦「『分人・複属』と電子行政」行政&情報システム(2015)