7　放送市場の動向
（1）放送市場の規模
ア　放送事業者の売上高等
●2016年度の放送事業者売上高は3兆9,312億円
我が国における放送は、受信料収入を経営の基盤とするNHK（日本放送協会）と、広告収入又は有料放送の料金収入を基盤とする民間放送事業者の二元体制により行われている。また、放送大学学園が、教育のための放送を行っている。
放送事業収入及び放送事業外収入を含めた放送事業者全体の売上高については、2015年度より増加し、2016年度は、3兆9,312億円（前年度比0.4％増）となった。
その内訳をみると、地上系民間基幹放送事業者の売上高総計が2兆3,773億円（前年度比1.3％増）、衛星系民間放送事業者の売上高総計が3,463億円（前年度比9.1％減）、ケーブルテレビ事業者の売上高総計が5,031億円（前年度比0.6％増）、NHKの経常事業収入が7,045億円（前年度比2.4％増）となった。
なお、市場シェアでは、地上系民間基幹放送事業者の売上高総計が、民間放送事業者の売上高総計の73.7％（前年度差1.0ポイント増）を占めている。（図表5-1-7-1）
図表5-1-7-1　放送産業の市場規模（売上高集計）の推移と内訳
（出典）総務省「民間放送事業者の収支状況」及びNHK「財務諸表」各年度版により作成
有線テレビジョン放送事業のサービス別売上高をみると、ベーシックサービスが3,401億円、ペイサービスが177億円となっている（図表5-1-7-2）。
図表5-1-7-2　有線テレビジョン放送事業のサービス別売上高の推移（出典）総務省・経済産業省「平成29年情報通信業基本調査」
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/29kihon_report.html
地上系民間基幹放送事業者の収入の大部分は、広告収入であり、2017年の広告収入は、1兆9,468億円となっている。内訳は、テレビジョン放送事業に係るものが1兆8,178億円、ラジオ放送事業に係るものが1,290億円となっている（図表5-1-7-3）。
図表5-1-7-3　地上系民間基幹放送事業者の広告収入の推移（出典）電通「日本の広告費」により作成
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2018/0222-009476.html
イ　民間放送事業者の経営状況
●民間放送事業者の2016年度の営業損益は、地上系、衛星系、ケーブルテレビのいずれも黒字を確保
民間放送事業者の営業損益の状況は、次のとおりとなっている（図表5-1-7-4）。
図表5-1-7-4　民間放送事業者の売上高営業利益率の推移（出典）総務省「民間放送事業者の収支状況」各年度版等により作成
（ア）地上系民間基幹放送事業者
引き続き営業黒字を確保し、2016年度の売上高営業利益率は6.7％となっている。
（イ）衛星系民間放送事業者
引き続き営業黒字を確保し、2016年度の売上高営業利益率は9.8％に上昇している。
（ウ）ケーブルテレビ事業者
売上高営業利益率は10％前後を維持しており、2016年度は10.7％となっている。