(2)放送コンテンツの製作取引適正化 総務省では、放送コンテンツ分野における製作環境の改善及び製作意欲の向上等を図る観点から、平成21年に「放送コンテンツの製作取引適正化に関するガイドライン」(以下「ガイドライン」という)を策定し、放送事業者及び番組製作会社に対して、放送コンテンツの製作取引の適正化を促してきており、この一環として、放送コンテンツの製作取引の状況を把握するため定期的にガイドラインのフォローアップ調査を実施しその結果を公表するとともに3、ガイドラインの内容を解説する講習会を開催するなど、ガイドラインの浸透・定着に向けた取組を実施している。 平成29年12月11日から平成30年1月31日まで実施した平成29年度フォローアップ調査では、1,747社(放送事業者583社、番組製作会社1,164社)を対象に、722社(放送事業者457社、番組製作会社265社)から回答を得た。その結果、放送事業者の72.6%、番組製作会社の81.9%が、平成29年1月1日から同年12月31日までの調査対象期間中に「放送コンテンツの製作取引があった」と回答した。ガイドラインの認知度は、放送事業者と番組製作会社の合計で94.2%まで上昇した(昨年度調査結果では91.7%)。また、取引に関する項目は、おおむね昨年度調査結果と同じ傾向であり、回答割合に放送事業者と番組製作会社との間で大きな違いがみられた事項もあった。例えば、放送コンテンツの製作委託をする(受ける)際の取引価格の決定について、「事前に協議をしていない(協議の機会を設けられない)場合があった」又は「事前に協議をしていない(協議の機会を設けられない)」と回答した者の割合は、放送事業者では0.9%(昨年度調査結果では2.4%)、番組製作会社では27.2%(昨年度調査結果では32.7%)となっている。 また、インターネットを活用した放送コンテンツの提供サービス等による放送コンテンツの二次利用の進展に対応するため、放送コンテンツ分野における製作環境の改善や製作意欲の向上等を図る観点から、製作現場に適正にビジネス活動の利益が還元される環境を整備することで取引の適正化を図っていく等、放送コンテンツの適正かつ円滑な製作・流通を確保していくことが重要であることから、総務省は、平成28年10月、放送コンテンツの適正かつ円滑な製作・流通の確保方策を含む「視聴環境の変化に対応した放送コンテンツの製作・流通の促進方策の在り方」について、総合的な検討を行うため情報通信審議会に諮問し、平成29年7月20日に中間答申が示された。 放送コンテンツの製作取引については、依然として放送事業者と番組製作会社の認識に相違がみられることから、情報通信審議会の中間答申が示されるまでの議論の過程において、放送事業者と番組製作会社等による民間主体の対話・情報共有の場の設置について提案があり、平成29年6月、学識経験者、放送事業者団体、番組製作会社団体等から成る「放送コンテンツ適正取引推進協議会」(事務局:一般社団法人日本民間放送連盟、一般社団法人全日本テレビ番組製作社連盟、オブザーバー:総務省)が設立された。平成30年3月、同協議会は、これまでの取組の実施状況等について、情報通信審議会へ報告を行った。今後、同協議会は、平成30年度の自主行動計画(平成30年4月6日策定)にもとづき、受発注双方が活用できるテキストを作成するとともに、同協議会として研修会を開催するなど、放送事業者とテレビ番組製作者の各業界団体と関係企業の情報の共有を促進し、下請法等関係法令及びガイドラインの周知・啓発を図ることとしている。 3 「放送コンテンツの製作取引適正化に関するガイドライン」平成29年度フォローアップ調査結果(平成30年5月31日総務省報道資料)http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu04_02000087.html