(2)ICTと共に進化する「デジタル経済」 「デジタル経済」という概念は、インターネットが徐々に利用されるようになってきた1990年代に、米国において登場したとされる。この概念は、当初はインターネットを中心とするICTを提供する産業の活動を意味する狭いものであった。しかしながら、電子商取引の普及にみられるように、インターネット上で提供される様々なサービスが経済全体の中での存在感を増すにつれ、「デジタル経済」の概念は、そのようなサービスをも含むより広いものとなっていった。 そして、冒頭で述べた「シェアリングエコノミー」や「ギグエコノミー」のように、ICTの発展・普及に伴い、ICTがインターネットの中の世界を超えて現実世界の仕組みを大きく変えていく中で、「デジタル経済」は、「経済全体の中でのICTを巡る活動」にとどまらず、「ICTがもたらした新たな経済の姿」を意味するものへと拡大してきた。 このように、ICTの進化は「デジタル経済」をも進化させることとなった2。 2 「デジタル経済」の概念の変化については、Rumana Bukht, Richard Heeks(2017)“Defining, Comceptualising and Measuring the Digital Economy”が詳しい。