(3)Society 5.0を実現し、その真価を発揮するためには何が必要か ICTが効果を生むために我が国にとって必要な改革とは、どのようなものだろうか。まず、企業においては、ICTを単に効率化の手段として位置付けるのではなく、新たな価値を生み出すものと位置付けた上で、これに即した体制へと転換する必要がある。そこでは、データが価値の源泉となることやコスト構造が変わってきていることを踏まえ、自前主義を脱し、M&A等のオープン・イノベーションを進めていくことが求められる。特に、大企業等によるM&Aの活性化は、これまで「出口」が限られていた我が国のスタートアップ企業を取り巻くエコシステム自体を変える可能性がある。この点を含め、デジタル経済に即した企業と企業、企業と人の間の関係の再構築が重要となる。他方、これらを進めていく上では、働き方改革やリカレント教育の推進等、人を巡る改革が重要となる。 デジタル経済の進化が、既存の様々な関係に「ゆらぎ」をもたらしていることは、地方にとってチャンスとなりうる。5Gのインフラを整備し、データの活用を進めた上で、新たな連携相手を開拓していくことが重要となる。 また、産業革命以降確立されてきた資本主義の様々な原理をはじめ、これまで「自明」であったものが問われていくという更なる変化に備えていく必要もある。その中で、ICTによる変革が効果を発揮するための制度面の見直しも絶えず求められていくだろう。