3 サイバーセキュリティに関する動向 デジタル経済の進化の中で、サイバーセキュリティに関するリスクに対応することの重要性が高まっている。2019年1月に世界経済フォーラムが公表した「The Global Risks Report 2019」では、世界において今後10年間で大規模な損害をもたらすおそれのある大規模な事象を「グローバル・リスク」として、その発生可能性や影響規模、相互の関連等について整理している48。 これによると、経済・社会・環境・技術等にわたる広範な領域におけるグローバル・リスクのうち、サイバー攻撃、重要インフラの停止、データ不正・窃盗等のセキュリティ脅威は、発生可能性・影響規模共に上位に位置している(図表1-3-3-1)。 図表1-3-3-1 「グローバル・リスク」の発生可能性と影響規模 (出典)世界経済フォーラム「The Global Risks Report 2019」 また、リスク間の関連性をみると、サイバー攻撃は、データの不正利用や重要インフラの故障のみならず、社会の不安定化や国家間紛争、国家統治の失敗といったものにまで関係していることが分かる(図表1-3-3-2)。 図表1-3-3-2 リスクの相互関連性 (出典)世界経済フォーラム「The Global Risks Report 2019」 このようなサイバーセキュリティの社会・経済全体における重要な位置付けに留意した上で、サイバーセキュリティに関する現状と新たな脅威、サイバー攻撃の経済的損失について述べる。 48 外務省「日EU経済連携協定(EPA)に関するファクトシート(PDF)」を参照。 https://www.weforum.org/reports/the-global-risks-report-2019