(3)重層的・複合的に存在するマスメディアとソーシャルメディア 1で述べたようなテレビとインターネットを並行利用する行動様式が出てきているほか、対面メディア、マスメディア、ソーシャルメディアが重層的・複合的に併存している状況にも注目すべきという見方がある。 例えば遠藤(2018)3は、「メディアが発達した現在においても、対面メディアが消滅したわけではなく、対面メディア、マスメディア、ソーシャルメディアが重層的複合的に併存するようになったということを無視するべきではない」と述べている。 そして、多くの者は日常的に、対面メディア、マスメディア、ソーシャルメディアなどを重層的に利用していることから、マスメディアの情報がネットを介して伝わったり、ネットの情報がマスメディアを介して伝わったりしているため、これらを分けて論じることはできないと指摘し、こうしたソーシャルメディアと既存メディアが重層的に相互作用しながら世論を形成する現代のメディア環境を「間メディア社会」と定義している。 図表1-4-1-9 間メディア空間の構成 (出典)遠藤薫(2018)『ソーシャルメディアと公共性』東京大学出版会 また、間メディア空間では、メディア間の相互作用が緊密化し、かつてであればそれほど大きな社会的関心事とならなかった出来事も、以前にはなかったようなプロセスを経て社会を揺るがすほどの影響力を持つとしている。 特に、後述するいわゆる「ネット炎上」の問題に関しては、マスメディアで取り上げられることにより、さらに「炎上」することも指摘されており 、ネットメディアのみが原因と断定できない点には留意が必要と考えられる。 図表1-4-1-10 間メディア・スキャンダルのダイナミズム (出典)遠藤薫(2016)「間メディア民主主義と〈世論〉」社会情報学 第5巻1号 3 遠藤薫(2016)「間メディア民主主義と〈世論〉」社会情報学 第5巻1号