(2)2つ目のキーワード:限界費用 デジタルデータは、追加的な費用(=限界費用)がほぼゼロで複製・伝達が可能 通常、あるモノやサービスの生産を増やすときには、追加的な費用が発生する。例えば、自動車を一台追加生産する場合には、その原材料費や組立てに必要な人件費などが追加的にかかる。このように、ある財・サービスを一単位増やすために要する費用を、限界費用という(図表2-1-1-2)。 図表2-1-1-2 限界費用の例 (出典)各種公表資料より総務省作成 デジタルデータでは、ほぼ完全な複製を、追加的費用すなわち限界費用がほぼゼロ6で行うことが可能である。また、ICTのネットワークがつながっている所であれば、デジタルデータは即時に伝達可能であり、これらの追加的な費用すなわち限界費用もほぼゼロであるという特質を持つ。 このような特質の背景には、前述したとおり情報が紙や磁気テープ等のアナログな手段で記録されていたときには、媒体と一体となっていたために、その複製や伝達には追加的なコストが生じたが、媒体とは切り離して情報の処理が可能となったことがある。また、前述したコンピューティング資源の高性能化とコストの低廉化や、ネットワーク上での通信コストの大幅な低廉化という背景も重要である。 6 デジタルデータを複製・伝送するための設備やその運営には費用を要するが、ここで言及しているのはあくまでも「追加的な」費用である。