第2節 電気通信事業政策の展開 2 公正競争の促進 (1)電気通信事業分野における市場検証の実施 昨今、急速なICTの進展や新たなビジネスモデルの登場などに伴い電気通信市場の構造は激しく変化している。こうした中、事後規制を基本とする電気通信事業法の枠組みにおいて電気通信事業分野における公正競争を促進し、利用者利便を確保するためには、市場動向を的確に把握し、適切に分析・検証を行い、政策展開に反映することが重要となっている。 総務省は、2016年度(平成28年度)から、従前の「電気通信事業分野における競争状況の評価」及び「ブロードバンド普及促進のための公正競争レビュー制度」を充実・発展させ、市場動向の分析・検証及び電気通信事業者の業務の適正性等の確認を一体的に行う市場検証の取組を実施している。市場検証の取組の実施に当たっては、「電気通信事業分野における市場検証に関する基本方針2」(2016年(平成28年)7月)において、2016年(平成28年)夏から2019年(令和元年)夏までの3年間における市場検証に関する基本的な考え方及び検証プロセスの全体像を示すとともに、本基本方針に基づき、各年度における市場検証に関する重点事項及び分析・検証の実施方針等を示す年次計画を策定している。また、効率的かつ実効性の高い分析・検証を行い、客観的かつ専門的な見地から助言を得ることを目的として、学識経験者等で構成する電気通信市場検証会議を開催している。 2017年度(平成29年度)には、「固定系通信・移動系通信における卸及び接続」、「消費者保護ルールに関する取組状況」及び「グループ化の動向」を重点事項として検証を行い、電気通信市場や利用者への影響の観点から重要となる課題等を取りまとめ、「電気通信事業分野における市場検証(平成29年度)年次レポート3」を公表した。2018年(平成30年度)は、「固定系通信・移動系通信における卸及び接続」及び「消費者保護ルールに関する取組状況」の継続事項に加え、「移動系通信における禁止行為規制の緩和における影響」を重点事項としている。また、2018年度(平成30年度)は、平成27年改正事業法の施行状況に関する総合的な検証に資するため、平成27年改正事業法施行後における電気通信市場の変化等に留意して市場検証を実施することとしている。 2 電気通信事業分野における市場検証に関する基本方針: http://www.soumu.go.jp/main_content/000430110.pdf 3 電気通信事業分野における市場検証(平成29年度)年次レポート: http://www.soumu.go.jp/main_content/000571106.pdf