4 電気通信サービスにおける安心・安全な利用環境整備 (1)消費者支援策の推進 電気通信サービスの高度化・多様化により、多くの利用者に利便性の向上や選択肢の増加がもたらされる一方で、利用者と事業者の間の情報格差や事業者の不適切な勧誘等により、トラブルも生じている。 このような状況を背景に、消費者保護ルールの更なる充実・強化を目的の1つにした電気通信事業法等の一部を改正する法律(平成27年法律第26号)が2015年(平成27年)5月に成立し、2016年(平成28年)5月より施行された。改正法により、従前の義務に加えて、説明義務の充実、書面交付義務、不実告知等・勧誘継続行為の禁止、媒介等業務受託者に対する指導等が盛り込まれた。 総務省では、これらの消費者保護ルールを適切に実施し、制度の実効性を確保するため、「電気通信事業の利用者保護規律に関する監督の基本方針」を策定し、消費者保護ルールの実施状況についてモニタリングするとともに、有識者や関係の事業者団体が参加し、関係者の間で共有・評価等する「消費者保護ルール実施状況のモニタリング定期会合15」を開催している(図表4-2-4-1)。 図表4-2-4-1 消費者保護ルール実施状況のモニタリング(概要) 2017年度(平成29年度)のモニタリングでは、総務省のほか各地の消費生活センター等に寄せられる苦情相談の傾向分析を行うとともに、MNOやFTTH、MVNOサービス等を提供する主な事業者に対し、利用者に扮した調査員が販売現場において具体的な説明状況の調査等を行う実地調査(覆面調査)等を実施した。これらの調査等の結果を基に、2018年(平成30年)6月の第5回モニタリング定期会合において、「2017年度(平成29年度)消費者保護ルール実施状況のモニタリング(評価・総括)」をとりまとめた。本評価・総括等を踏まえ、調査対象事業者に対し所要の改善指導を実施するとともに、同年10月にはMVNO音声通話付サービスへの初期契約解除制度導入のための電気通信事業法施行規則等の一部改正等、制度面における対応を行った。 2018年度(平成30年度)においても、引き続きモニタリングを実施しており、実質的に利用者の通信サービス契約期間を長期に拘束する効果のある残債免除等施策(いわゆる「4年縛り」)の契約前説明の義務化、改正青少年インターネット環境整備法の施行やMVNO音声通話付サービスへの初期契約解除制度導入等も踏まえた実地調査等を行っている。2019年(平成31年)2月には、第6回モニタリング定期会合を開催し、2017年度(平成29年度)消費者保護ルール実施状況のモニタリングにおける指摘事項に対するフォローアップや、2018年度(平成30年度)上半期の苦情相談の傾向分析の結果及びMVNOサービスへの実地調査の結果の報告等を行い、各電気通信サービスの要改善・検討事項をとりまとめた。 総務省では、引き続き、モニタリング等の取組を進め、消費者保護の充実を図っていくこととしている。 15 消費者保護ルール実施状況のモニタリング定期会合:http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/ict_anshin/index_03.html