(2)放送コンテンツの製作・流通の促進 2016年(平成28年)10月、総務省は、@ ブロードバンドを活用した放送サービスの高度化の方向性、A 放送サービスの高度化を支える放送・通信インフラの在り方、B 放送コンテンツの適正かつ円滑な製作・流通の確保方策等について総合的な検討を行うため、情報通信審議会に「視聴環境の変化に対応した放送コンテンツの製作・流通の促進方策の在り方」を諮問した。これを受けて、主に@ 放送コンテンツの流通を支える配信システム及びネットワークの在り方、並びにA 放送コンテンツの適正かつ円滑な製作・流通の確保について検討が進められ、2017年(平成29年)7月に中間答申がとりまとめられた。2018年(平成30年)8月、主に中間答申以降の動向及び取組状況等を踏まえ、放送サービスの高度化の実現に向けた課題を整理するとともに、今後取り組むべき事項について、最終答申2がとりまとめられた。 ア 放送コンテンツの流通を支える配信システム及びネットワークの在り方 最終答申における「今後取り組むべき事項」として、モバイル端末・PC向け同時配信については、ネット同時配信を行うために必要な配信システム機能の共通化の検討を進め、ネット同時配信を継続的に実施しやすい環境を整備すること、スマートテレビ向け4Kコンテンツの配信については、円滑な4K同時配信の提供に必要な技術仕様の策定や人材育成支援等を行えるよう支援すること、視聴データの利活用については、地方自治体のオープンデータ等の連携による視聴者に身近な課題解決モデルの構築など、地域経済や地域社会に利用・還元できる仕組みを支援すること等が示された。 また、規制改革実施計画(2018年(平成30年)6月15日閣議決定)においても、新たな配信基盤の構築に向けて、技術の実証を行うこととされた。 これらを受け、総務省では、2018年度(平成30年度)に、放送コンテンツの配信を通じた災害情報等の提供の在り方に関する実証事業、ネット同時配信に係る配信システム機能に関する実証事業、ブロードバンドを活用した地域放送サービスの展開方策に関する実証事業等を行い、それらの技術、運用面の課題及び有効な方策案をとりまとめた。 イ 放送コンテンツの適正かつ円滑な製作・流通の確保 放送コンテンツの適正な製作取引の推進については、「放送コンテンツの製作取引適正化に関するガイドライン」(以下、「ガイドライン」という。)の周知・啓発の徹底、取引実態の調査の実施、ガイドラインの見直し、外部有識者から構成される新たな推進体制の整備等が必要であるとされ、放送事業者による同時配信に関する権利処理については、放送事業者のビジネスモデルの具体像が明確となった段階において、権利処理方法の形成に向けた取組を継続して行うことが重要であり、継続的な検討に向けた体制を整備することが必要とされた。 また、規制改革実施計画においても、製作取引について、実態調査やガイドラインの見直し等に取り組むとともに、中立性・信頼性を有するコンプライアンス向上の体制整備の必要性を検討することなどとされたほか、権利処理については、放送コンテンツの流通インフラ整備の必要性や課題を整理するとともに、同時配信に係る著作権等処理の円滑化のための所要の課題解決を行うこととされた。 これらを受け、総務省では、製作取引に関して、2018年(平成30年)6月から同年11月にかけてヒアリングによる実態調査を実施し、同年10月に有識者等で構成される「放送コンテンツの適正な製作取引の推進に関する検証・検討会議」(座長:舟田正之 立教大学名誉教授)を開催している。同年12月には同会議において論点整理が行われ、ガイドラインの見直し、研修会等におけるガイドラインの周知・啓発の強化、推進協議会3の自主行動計画の改定等に向けて取り組むこととされた。 同時配信に係る権利処理に関しては、2018年(平成30年)12月から、有識者等で構成される「ネット同時配信に係る権利処理に関する勉強会」を開催し、将来、我が国においてネット同時配信が本格化した場合に備え、円滑な権利処理の実現に向けて必要な対応策の検討等を進めている。 2 「視聴環境の変化に対応した放送コンテンツの製作・流通の促進方策の在り方」(平成28年諮問第24号)に関する情報通信審議会からの最終答申:http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu04_02000093.html 3 放送事業者及び番組製作会社の業界団体等により構成する「放送コンテンツ適正取引推進協議会」(2017年(平成29年)6月設立)