2 令和時代における基盤としての5G 2020年3月、我が国においても5Gの商用サービスが開始された。折しも、世界各国では米国の“Industrial Internet”、ドイツの“Industry 4.0”、中国の“中国製造2025”に代表されるように、デジタル・トランスフォーメーションが活発化しており、我が国においても5Gは非常に重要な役割を果たすものと期待されている。 遡ること40年以上前、我が国に最初に登場した移動通信システムは、大型で利用範囲が狭く、通信品質も低い上に、機能も音声通話に限られ、利用料金も高価なものであった。その後、累次の技術革新や制度改革によって様々な改善が図られたことで、移動通信システムは急速に世の中に普及していった。そして、我が国では、2008年にiPhone3Gが登場して以降、スマートフォンの急速な普及に伴い、移動通信端末からのインターネット接続が主流となったほか、様々なサービスがスマートフォン上で動作するアプリとして開発・提供されたことによって、現在では、スマートフォンが生活必需品として定着していった。移動通信システムは、通信基盤から生活基盤へと進化し、国民生活や経済活動に大きな影響を及ぼす存在となっている。 5Gが従前の移動通信システムと大きく異なるのは、4Gまでは、主に人がスマートフォン等の端末を用いてストレスフリーな通信やよりリッチなコンテンツを楽しめるよう、高速・大容量化を遂げてきたのに対し、5Gは超高速・大容量に加えて、超低遅延及び多数同時接続といった要件を備えることにより、IoT(Internet of Things)の基盤としての活用、つまり、機械や車両等への搭載により産業や社会の効率化や利便性の向上、新たな付加価値を創出するための基盤として活用が見込まれる点である。5Gの登場によって、移動通信システムは生活基盤から産業・社会基盤へとさらなる進化を果たし、我が国の経済成長や社会的課題の解決に貢献することが期待されている。