(4)特定基地局の開設計画の認定 携帯電話の基地局など、同一の者が相当数開設する必要がある無線局(特定基地局)については、無線局免許に先立って、開設計画(基地局の整備計画)の認定申請を受け付け、総務大臣の認定を受けた者のみが免許申請可能となる制度となっている。 携帯電話事業者への5G用周波数割当ての流れは 図表1-2-2-3 に記したとおりであるが、5G用特定基地局については、2018年11月2日に総務省が特定基地局の開設指針案を公表し、パブリックコメント及び電波監理審議会への諮問を経て、2019年1月24日に開設指針を告示し、同日より開設計画の認定申請を受け付けた。周波数割当枠としては、3.7GHz帯及び4.5GHz帯に100MHz幅が6枠、28GHz帯に400MHz幅が4枠設けられ、前者については1申請者につき上限2枠、後者については1申請者につき上限1枠まで申請できることとされた。 図表1-2-2-3 携帯電話事業者への5G用周波数割当ての流れ (出典)総務省作成資料 開設計画の審査方法(図表1-2-2-4)としては、まず、申請者が絶対審査基準に適合しているかの審査を行う。絶対審査基準としては、エリア展開面(5G基盤展開率を全国で50%以上とすること、2年以内に全都道府県で運用開始すること等)、設備面(安全・信頼性確保の計画があること等)、サービス面(必要な資金調達計画があること、MVNOへのネットワーク提供計画があること等)、その他の事項において、5G免許人として最低限遵守すべき基準が設けられた。 図表1-2-2-4 特定基地局の開設計画の審査方法 (出典)総務省作成資料 続いて、絶対審査基準を満たした全ての申請に対して比較審査を行う。比較審査基準としては、エリア展開面(5G基盤展開率が高いこと、特定基地局開設数が多いこと等)、設備面(安全・信頼性確保の計画が充実していること等)、サービス面(MVNOへのネットワーク提供計画が充実していること、5G利活用拡大計画が充実していること等)、その他の事項について設けられ、評価点数の高い者から順番に希望する周波数帯を割り当てる方式をとった。 なお、審査基準の決定に際しては、5Gが4Gまでとは異なり、人だけでなくあらゆるモノをサービスの対象とし、社会課題解決や地方創生への活用が期待されることから、都市部・地方部を問わず事業展開の可能性がある場所に柔軟にエリア展開できる指標や地方での早期エリア展開を評価する指標の設定が重要とされた。そこで、5Gの開設計画の評価指標として、4Gまでの審査基準で採用してきた人口カバー率に代えて5G基盤展開率(全国を10km四方のメッシュに区切り、5年以内に5G高度特定基地局を整備するメッシュの数により算出)を採用したほか、全都道府県におけるサービス開始時期や全国における特定基地局の開設数や5G利活用に関する計画などを取り入れた(図表1-2-2-5)。 図表1-2-2-5 5Gの広範な全国展開確保のイメージ (出典)総務省作成資料 2月25日に開設計画の申請受付を締め切ったところ、NTTドコモ、KDDI/沖縄セルラー電話、ソフトバンク及び楽天モバイルの4者から申請が提出された。その後、提出された計画の内容について審査を行い、3.7GHz帯及び4.5GHz帯については、NTTドコモ及びKDDI/沖縄セルラー電話にそれぞれ2枠、ソフトバンク及び楽天モバイルにそれぞれ1枠を割り当て、28GHz帯については、4者に各1枠を割り当てる旨の結果をまとめ、4月10日に電波監理審議会への諮問を経て、開設計画の認定が行われた(図表1-2-2-6 、 1-2-2-7)。 図表1-2-2-6 5Gの導入のための特定基地局の開設計画の認定に係る認定書交付式(2019年4月10日) (出典)総務省 図表1-2-2-7 割当て結果のまとめ (出典)総務省作成資料 なお、開設計画の認定に際して、5Gの特性を活かした多様なサービスの広範かつ着実な普及、電気通信設備に係る安全・信頼性の向上、サプライチェーンリスク対応を含む十分なサイバーセキュリティ対策の実施、MVNOとの円滑な協議の実施など9項目の条件が全者に対して付与されたほか、個別の者に対する条件の付与も行われた。