(5)支援の取組 新型コロナウイルス感染症対策をきっかけとして生活や経済活動においてオンラインを前提とした業務継続の取組が進められる中で、インターネットを活用した支援の仕組みが拡大している。 ア エンターテインメント 例えば、エンターテインメントの世界においては、イベントの相次ぐ自粛を受け、無観客公演をオンラインで配信する動きが活発化しているが、その際の費用を支援する活動や、インターネット上での有料イベント開催に向けての新サービスの創出も注目を集めている。 国内最大級のクラウドファンディングサービス「READYFOR」を運営するREADYFOR株式会社は、新型コロナウイルスの影響で中止となったイベントを支援するクラウドファンディングプログラムを開始した 84 。本プログラムが適用となったイベントは、目標金額への到達の有無に関わらず集まった資金を受け取ることができるALL-IN形式が適用され、サービス手数料が無料化され決済手数料(5%)のみでクラウドファンディングの実施が可能となる。 同様にクラウドファンディングのCAMPFIREも新型コロナウイルスサポートプログラムを開始した 85 。新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、イベント中止・自粛を発表したアーティストやイベント事業者、飲食店舗、宿泊施設などをはじめ経営・生産に大幅な支障をきたした事業者がエントリーできる。本プログラムにて公開したALL-INおよびAll or Nothing方式(目標金額へ達していた場合に限って資金を受け取る方式)のプロジェクトについては、支援金振込時にかかるサービス手数料が0%となり、決済手数料5%のみでクラウドファンディング実施が可能となるとしている。 他方で、支援したい対象に自ら設定した金額を送金する、「投げ銭」システムを活用したライブ配信も注目されている。YouTubeでは以前から「Super Chat」と呼ばれる機能を実装しているほか、ゲーム実況で人気のTwitchでも「bit」というサービス内の仮想通貨を投げ銭できる機能が実装されている。また、有料ライブ配信機能を提供する電子チケット販売プラットフォーム「ZAIKO」も投げ銭システムを導入しており、こうした機能・サービスを活用した新たなエンターテインメントの在り方が模索されている。 イ 飲食店、小売店 飲食店や小売店の営業自粛に伴い、いくつかの地方公共団体では食事宅配やECへのシフトを支援する施策を打ち出している。 神戸市は4月17日、Uber Eatsと事業連携協定を締結し、デリバリーサービス「Uber Eats」を活用した飲食店支援策「Uber Eats + KOBE」を実施すると発表した 86 。市内における中小規模の飲食店に対し、対象飲食店のUber Eats初期手数料の支払いを当面の間免除する。また、注文者がUber Eatsのアプリ内で受けられる割引(プロモーションキャンペーン)について、通常時においては対象飲食店が負担する費用を市が助成する仕組みである。東京都でも4月22日に新型コロナウイルス感染症緊急対策として、都内で飲食店を営む中小事業者が、新たなサービスとして「テイクアウト」「宅配」「移動販売」を始める場合、100万円を限度に、業態転換を支援すると発表している 87 。 そのほかにも、実店舗を守るため、民間によるユニークな支援の取組みも広がりを見せているところである。 84 READYFOR(2020.02.27)「READYFORが新型コロナウイルスの影響で中止となったイベントを支援」(https://readyfor.jp/corp/news/153) 85 CAMPFIRE(2020)「新型コロナウイルスサポートプログラムについて」(https://help.camp-fire.jp/hc/ja/articles/360040309611) 86 神戸市(2020.04.10)「神戸市とUber Eatsの連携による飲食店・家庭支援策「Uber Eats + KOBE」 ~全国初の「Uber Eats」を活用した事業連携~」(https://www.city.kobe.lg.jp/a05822/704821757293.html) 87 東京都(2020.4.22)「新たなサービスとして「テイクアウト」「宅配」「移動販売」を始める方への支援策」(https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2020/04/22/12.html)