(1)データの価値を理解し、活用できるよう整備を行う 災害発生時における迅速な状況把握は、莫大な予算をかけて新たなセンサーを取り付けたりしなくても、既に存在するデータを収集できる仕組みを構築することで、相当程度できるようになるとの指摘がある 1 。例えば、被害を受けたと思われる地域における信号機や電気・ガスのスマートメータ、ケーブルテレビ、自動販売機等の故障の有無が把握できれば、被害エリアの詳細が高い精度で把握できるという。 また、価値あるデータが活用できる形になっていないことで、助けられない命があるとの指摘もある 2 。価値あるデータを活用できるようにするためには、「データ・スチュワード 3 」の役割が重要であり、データが社会において果たす意味を正負両面から理解し、どのような条件の下で、誰とどこまでを共有すべきなのか、データを適切に管理し、社会に対してナビゲーションする役割を強化する必要があるという。 1 総務省(2020)「社会全体のICT化に関する調査研究」有識者ヒアリング(東京大学生産技術研究所 加藤孝明教授)に基づく。 2 総務省(2020)「社会全体のICT化に関する調査研究」有識者ヒアリング(筑波大学システム情報系社会工学域 川島宏一教授)に基づく。 3 他人から預かったデータを責任を持って管理運用する人材を指す。