(4)携帯電話の基地局整備の在り方 5Gや光ファイバなどのICTインフラの整備支援策と5G利活用促進策を一体的かつ効果的に活用し、ICTインフラをできる限り早期に日本全国に展開するため、総務省では、2023年度(令和5年度)末を視野に入れた整備方針や具体的な推進方策をロードマップとともに示した「ICTインフラ地域展開マスタープラン」を策定した(2019年(令和元年)6月)(図表6-3-2-8)。 図表6-3-2-8 ICTインフラ地域展開マスタープランの概要(ロードマップ) 「ICTインフラ地域展開マスタープラン」では、@条件不利地域のエリア整備(基地局整備)、A5Gなど高度化サービスの普及展開、B鉄道/道路トンネルの電波遮へい対策、C光ファイバ整備について整備方針等を示している。 まず、@条件不利地域のエリア整備(基地局整備)については、これまで人が居住しているエリアなどを中心に携帯電話の不感対策に取り組んできたことなどから、居住エリアの対策完了に一定の目処が立った 9 。他方、昨今は、災害時の通信環境の確保などの観点から、非居住エリアであっても、携帯電話の利用に対するニーズが高まっている。このため、今後は国民の安全・安心の確保の観点から、道路や登山道、農業・林業などの作業場などといった非居住エリアの対策を進めて行く。 次に、A5Gなど高度化サービスの普及展開については、条件不利地域での5G基地局の導入を推進するため、補助事業(携帯電話等エリア整備事業など)による支援策を講じることなどにより、携帯電話事業者各者から、第5世代移動通信システムの導入のための特定基地局の開設計画の認定から5年以内に整備するとして示された5G基地局数(4者合計で7万局程度)について、2023年度(令和5年度)末までに2割以上の上積み整備を図ることとしている。 また、B鉄道/道路トンネルの電波遮へい対策については、まず、新幹線トンネルについては、開業中の路線にあるトンネルは、2020年(令和2年)までの対策完了を目指して、補助事業(電波遮へい対策事業)による対策を講じるほか、延伸が予定されている路線にあるトンネルには、開業と同時に携帯電話が利用できるように対策を講じる。一方、在来線トンネルについては、平均通過人員2万人以上の区間のトンネルに重点をおいて携帯電話を利用できるようにするため、同事業により対策を講じる。また、道路トンネルについては、高速道路は100%、直轄国道は95%のトンネルで携帯電話を利用できるようにすることを目指して同事業により対策を講じる。 最後に、C光ファイバ整備については、条件不利地域での5G基地局を支える光ファイバ整備及び居住世帯向けサービスのための光ファイバ整備を推進するとしているところ、補助事業(高度無線環境整備推進事業(図表6-3-2-5))などによる支援策を講じることで、2023年度(令和5年度)末までに未整備世帯を約18万世帯に減少させることを目指している 10 。 これらの施策を実行することにより、条件不利地域を含め、5Gや光ファイバなどのICTインフラの全国的な整備を早急に推進する。 9 2018年(平成30年)3月末時点において約1.6万人となっているエリア外人口について、一部の携帯電話事業者において2023年度(令和5年度)末までに全て解消する旨を盛り込んだ「第5世代移動通信システムの導入のための特定基地局の開設計画」が2019年(平成31年)4月に認定された。 10 2020年度(令和2年度)第2次補正予算として高度無線環境整備推進事業に501.6億円を計上したことから、当初の予定を2年前倒しして、2021年度(令和3年度)末までに未整備世帯を約18万世帯に減少させる計画に変更されている。