(1)デジタル経済の進展 令和元年版情報通信白書で述べたように、インターネットが徐々に利用されるようになってきた1990年代に「デジタル経済」という概念が登場したとされる。この概念は、当初はインターネットを中心とするICTを提供する産業の活動を意味する狭いものであったが、電子商取引の普及に見られるように、インターネット上で提供される様々なサービスが経済全体で存在感を増すにつれて、「デジタル経済」の概念はそのようなサービスを含むより広いものとなった。さらに、シェアエコノミーやギグエコノミーのように、ICTが現実世界の仕組みを大きく変えていく中で、「ICTがもたらした新たな経済の姿」を意味するようになった。 我が国は、1970年代から80年代にかけては「電子立国」とも称され、ICT産業は、自動車産業と並んで我が国の経済を主導する産業であり、世界的にも大きな存在感を示していた。 しかし、1990年代以降は、インターネットの登場やモバイル技術の進展により、デジタル経済が進展する中、我が国のICT産業は、一部を除く多くの分野で存在感が薄れている。