(3)デジタル・トランスフォーメーションの推進体制 デジタル・トランスフォーメーションの主導者について3か国の企業モニターに尋ねたところ、「DX推進の専任部署」を設けているとの回答はいずれの国でも高くなった。 他の傾向として、日本では「DX専任ではない社内の部署」を挙げる回答が多いほか、「ICTに詳しい社員」も約8%いるなど、社内の実務レベルでデジタル・トランスフォーメーションを主導している傾向がうかがえる。 他方、米国やドイツでは、「社長・CIO・CDO等の役員」を挙げる回答が多かったほか、「外部コンサルタント・パートナー企業等」を挙げる回答がドイツでは多い結果となった 26 。トップダウンや外部の協力を得てデジタル・トランスフォーメーションに取り組む企業が日本と比べると高い特徴が見える(図表1-2-4-5)。 図表1-2-4-5 デジタル・トランスフォーメーションに関連する取組の主導者 27 (出典)総務省(2021)「デジタル・トランスフォーメーションによる経済へのインパクトに関する調査研究」 続いて、デジタル・トランスフォーメーションの主導者が保有するスキルや知見を尋ねた結果が、図表1-2-4-6である。「デジタル技術」と「経営・ビジネス」双方のスキル・知見を有するとの回答が最も多かったが、3か国とも主導者の方がよりその比率が高く、組織の人員については、「デジタル技術」のみとの回答が少し増える傾向にある。 図表1-2-4-6 デジタル・トランスフォーメーションの主導者が保有するスキル・知見 (出典)総務省(2021)「デジタル・トランスフォーメーションによる経済へのインパクトに関する調査研究」 なお、日本では、社長・CIO・CDO等の役員がデジタル・トランスフォーメーションを主導しているとの回答が米国・ドイツに比べて低い結果となったが、一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の調査によると、日本企業におけるCIO及びCDOの配置状況は、CIOの配置が専任・兼任合わせて15%、CDOの配置が6.5%にとどまっている。また、業種別では金融業におけるCIO・CDOの配置が突出する結果となっている(図表1-2-4-7)。 図表1-2-4-7 CIO及びCDOの配置状況 (出典)一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)「企業IT動向調査報告書2021」 26 ドイツで「外部コンサルタント・パートナー企業等」の割合が大きい要因の1つとして、フラウンホーファーと呼ばれる応用研究機関の存在や商工会議所による一気通貫でのサポートによって外部との密な連携が図られていることが考えられる。 27 この図表における「取組を実施していない」とは、「当該年度(2019年度又は2020年度)はデジタル・トランスフォーメーションを実施していないが、その他の年度(2018年度以前を含む)は取り組んでいる。」との意味である。