第3節 公的分野におけるデジタル化の現状と課題 1994(平成6)年に閣議決定された「行政情報化推進基本計画」において「電子政府」という単語が初めて用いられて以降、我が国では20年以上の歳月をかけて、行政の情報化による事務・事業及び組織の改革を推進してきた。しかしながら、2020年に発生した新型コロナウイルス感染症対応において、現状の仕組みの下では十分に迅速で柔軟な取組みができない状況が顕在化し、この状況を受けて平井卓也デジタル改革担当・情報通信技術(IT)政策担当大臣は「デジタル敗戦」と述べた 1。 本節においては、公的分野の中でも行政分野について、我が国における電子政府・電子自治体推進の経緯とコロナ禍における対応の反省を踏まえて検討されている今後の取組の方向性について整理したうえで、海外における先進的な取組事例を踏まえ、今後のデジタル・ガバメントの構築に向けて必要な取組を示す。 1 「菅首相肝煎りのデジタル庁、担当大臣が乗り越えるべき「敗戦」を語る」(日経クロステック、2020.10.29)(https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01452/102300001/)