(2)外出行動の抑制と消費の変化 新型コロナウイルスに対して取り得る対抗策は、ワクチンが登場するまでの間は、手洗い・うがい・マスクといった基本的な衛生対策の徹底と、不要不急の外出や通勤を抑制し人同士の密な接触の機会を減らす、旅行・出張など長距離移動の制限により地域間伝播を抑制する、といった外出行動の抑制策に限られていた。 外出行動の抑制によって、消費全体の約2割を占める家の外でないとできない消費(旅行、外食、レジャー等)が影響を受けるほか、通勤・出張によって誘発される消費(交通、飲食など)や、実店舗における購買行動にも影響を及ぼす。これら需要の減少は、当該産業の業績悪化を招くこととなる。 主要国における外出行動と消費の変化を見てみると、2020年第2四半期(4-6月期)は、米国・欧州・日本のいずれも外出行動が大幅に抑制され、消費も落ち込んだ。その後は、欧州及び日本では外出抑制の変化と消費の変化が連動しているのに対し、米国は外出行動抑制を続けながらも、消費の下振れ幅が大幅に縮小 5 している(図表2-1-2-4)。 図表2-1-2-4 主要国の消費と外出行動 (出典)三菱総合研究所 6 5 三菱総合研究所の分析では、米国において実施された失業給付の増額や現金給付による一時的な所得の上振れ、実店舗での消費からオンライン消費へのシフト、の2点が、消費の下振れ幅の大幅な縮小の要因として挙げられている。 6 https://www.mri.co.jp/knowledge/insight/20210326.html