3 デジタルデータの取扱い (1)パーソナルデータの取扱い デジタル社会では、日常生活における様々なデータを収集し、活用することになる。データを最大限活用することがデジタル社会の効用を最大限発揮することとなるが、そのデータには、健康情報などのパーソナルデータが含まれることとなる。今回のコロナ禍では、世界的な健康に対する脅威への対応として、世界各国でスマートフォンを活用した市民の行動履歴や接触者履歴等のデータの収集と分析が行われ、さらなる感染拡大防止のための予防や注意喚起を行うことを可能とした。一方で、こうした公衆衛生の観点からのユーザの位置情報や行動履歴の取得に関する議論においては、パーソナルデータ利用における公共の福祉とプライバシー等の個人の人権との間のバランスの問題が浮き彫りとなった(図表2-4-3-1)。 図表2-4-3-1 各国における接触確認アプリの比較(2020年) (出典)新型コロナウイルス感染症対策テックチーム事務局(2020)「接触確認アプリの導入に係る各国の動向等について」 このうち個人が所在する場所を示す位置情報は、場合によっては個人の趣味嗜好、さらには思想信条まで推測することを可能とするものであり、また、当該情報を一定期間継続して取得することで、個人の行動状況を把握することも可能となる。特にGPS測位に関する位置情報は、携帯電話基地局を利用した位置情報よりもより詳細な所在地を示すものであることから、その取得によりさらに容易で詳細な把握が可能となる。 これらのデータを活用することは、コロナ禍のような緊急時だけでなく、平常時においても生活の利便性は大きく向上する一方、プライバシーや個人情報保護とのバランスを考える必要があり、今後も多くの議論がなされていく必要があるであろう。