6 デジタル化を前提とした業務・慣習の見直し 緊急事態宣言下で導入が進んだテレワークであるが、その導入に関する我が国特有の課題、特に官公庁のテレワークが進まない要因の一つとして指摘されているのが、押印や書面を前提とした手続きの存在である。民間企業でも書面での契約書類の作成や押印行為のために出社せざるを得ずテレワークができない事象が発生している 11 。 これに対し、電子契約の利用を開始する企業が出てきている。一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)と株式会社アイ・ティ・アールが共同で実施した「企業IT利活用動向調査2021」 12 によると、電子契約の利用企業は、前回調査時(2020年7月)の41.5%から67.2%に拡大し、今後の予定を含めると、8割強が電子契約を利用する見込みとなっている(図表2-4-6-1)。 図表2-4-6-1 電子契約の利用状況(2021年1月) (出典)JIPDEC/ITR(2021)「企業IT利活用動向調査2021」 新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、感染拡大の予防を図りつつも、社会経済活動を維持していくためには、デジタル化を前提とした新しい業務やサービス提供の在り方の確立が求められており、これまでの慣習を見直し早急に新しい生活様式に移行していく必要がある。 11 日本経済新聞(2020.04.02)「ハンコ押すため出社…契約書類、在宅勤務の壁」(https://r.nikkei.com/article/DGXMZO57566900S0A400C2EE8000?s=4) 12 https://www.jipdec.or.jp/topics/news/20210318.html