4 デジタルデータを活用したサービスの展開 このように偽情報に対する取組は行われているが、正確な情報についても、単に発信されるだけでは有効に活用されない。行政機関や民間企業から提供されるデータは、多種多量に渡るが、それらのデジタルデータが、利用目的に応じて、適切な形で加工やマッシュアップされることで、必要な情報を分かりやすく得ることが可能となる。 ここでは、新型コロナウイルス感染症に関し、民間企業により、政府や民間企業が提供する各種データを活用し、分かりやすく可視化するなどの工夫をしているサービスとして、ベンチャー企業のJX通信社が提供するニュースアプリを紹介する。 ニュースアプリ「NewsDigest(ニュースダイジェスト)」 19 では、以下の3つの新型コロナ感染関連の情報提供を行っている 20 。 新型コロナ感染事例マップ スマートフォンのGPSを用いて、利用者の現在地周辺における新型コロナウイルス感染事例をマップ上で確認することができる。アプリユーザーからの感染情報の提供が行われており、ユーザからの情報提供は累計3万件となった 21 。同マップには、JX通信社にて、自治体や企業による正式な発表(一次情報)が確認できた情報のみを掲載している(図表2-5-4-1)。 図表2-5-4-1 新型コロナ感染事例マップ (出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」 新型コロナウイルス 日本国内のワクチン接種状況 厚生労働省、全国の発表データを用いて「リアルタイム」でとりまとめ可視化している。情報は、自社活用の他、外部へAPIで連携し情報提供している(図表2-5-4-2)。 図表2-5-4-2 新型コロナウイルス 日本国内のワクチン接種状況 (出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」 AIワクチン接種予測機能 厚生労働省の発表、自治体に対する調査、人口統計の関連データを用いて、いつ頃、ワクチン接種ができるかをAIが予測する。新たな情報やデータの追加によって随時アップデートされる。希望者は、生年月日、住んでいる都道府県市町村、職業、基礎疾患の情報を入力すると、いつ頃接種可能かが示される(図表2-5-4-3)。 図表2-5-4-3 AIワクチン接種予測機能 (出典)総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」 19 アジア・デジタルメディアアワード2020 新型コロナウイルス感染症関連プロジェクト部門特別賞を受賞している。 20 アプリだけではなく、ウェブサイトでも閲覧可能となっている。 21 2020年12月3日時点。