(3)強靱性(レジリエンス)を確保するためのデジタル化 ここまで、過去の情報通信白書でも言及されていた、ICT化(デジタル化)がどのような経路をたどって、我が国経済の持続的成長に貢献するかについて説明した。他方、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、国民生活や社会・経済活動における脆弱性が明らかになった。仮に現在のコロナ禍が収束した後も、新たな感染症が流行する可能性は否定できないほか、激甚化する自然災害の発生も我が国社会・経済に深刻な影響を及ぼしうる。今回のコロナ禍では、各国のロックダウンや緊急事態宣言などにより、社会や産業の活動を急速にストップすると、一時的にとは言え生活や経済に深刻な影響をもたらすことが明らかとなった。そのため、今後、感染症や自然災害が発生する事態になっても、生活や経済への影響を最小限に食い止めつつ社会としての機能を維持・継続できる強靱性(レジリエンス)を確保することは、生産性の向上や新たな付加価値の創出と並んで、コロナ禍を契機に進展したデジタル化を社会への定着を図るにあたっての重要な目的である(図表3-1-2-5)。 図表3-1-2-5 社会・経済課題の解決に寄与するデジタル化 (出典)総務省作成