(2)求められる「デジタル化による価値の共有」と「信頼されるデジタル環境整備」 我が国において、この間のデジタル化に伴う変化がコロナ収束後の社会への定着に関し、現時点では慎重に考えている層が多いことを説明した。デジタル化による恩恵を受けた人は、コロナ後も引き続き利用すると思われる反面、現時点でデジタルの恩恵を感じていない、又は、やむを得ずにデジタルを使用している人は、デジタルを受容せずにアナログへの回帰を志向する(あるいは、既に志向している)可能性がある。 しかし、我が国において「誰ひとり取り残さない」デジタル化を進めることで、コロナ後に求められる社会像を実現するには、デジタルを単に「感染拡大防止などの有事における有効手段」として評価するのでなく、デジタル化によるそれ以外の本来の価値を見出し、社会全体で共有することが必要である。言い換えれば、社会全体のデジタル・トランスフォーメーションを、政策を含め、あらゆる手段を講じて実現することが重要である。併せて、デジタルを安心・安全に利用できる環境を整えることで、デジタル化に対する不安感を減らし、信頼性を高める取組が求められていると言えよう。