(2)課題解決に資するICTの活用 本項目では、コロナ禍における防災・減災の課題の解決に資するICT活用事例を整理する。 まず、「避難所外避難者の状況把握」については、避難所外避難者が現状場所に加え、衛生・健康状態の把握が重要になるため、直接住民とコミュニケーションを取れる仕組みの構築が必要になることから、前項で紹介した防災アプリ「ツナガル+」などの活用が有効であると考えられる。 「行政の人手不足」については、自治体窓口又は電話による住民からの問い合わせ対応や避難者の確認作業(本人確認、人数カウント)等、業務負荷の大きいことに加え、新型コロナウイルス感染症防止も兼ねた対応が重要になると考えられる。そのため、チャットボットを活用した窓口対応の軽減(図表3-2-3-1)、マイナンバーカードを用いた避難所の入退所受付の仕組み(図表3-2-3-2)等が有効であると考えられる。 図表3-2-3-1 防災チャットボットSOCDA (出典)国立研究開発法人防災科学技術研究所(2020)「協働型災害対応を情報共有で支える「SIP4D」」 81 図表3-2-3-2 マイナンバーカードを用いた避難所の入退所受付 (出典)新潟県 三条市「マイナンバーカード(個人番号カード)による独自サービス等」 82 このような、コロナ禍における課題解決へのICT活用は、第1項2で述べた、社会環境の変化に伴う地域防災の担い手の負担増大を解決する手段としても有効であることが示唆される。人口減少及び少子高齢化が進展するなか、限りある行政職員の労力を、より支援を必要とする対象に振り向けるためには、上記のような情報の収集・分析・予測・伝達の省力化等に向けた取組がますます重要となってくるであろう。加えて、コロナ禍を契機とした社会の急速なデジタル化進展は、スマートフォンなどを活用したコミュニケーションや情報収集を全世代にとってより身近なものにした。今後の防災・減災においては、スマートフォン向けの防災アプリ等を活用した行政と住民が直接コミュニケーションし、状況把握や支援情報の伝達に役立てることも一般的になっていくことが期待される。 我が国において広域化・甚大化する災害に立ち向かい、「誰一人取り残さない防災・減災」を実現するためには、行政だけでなく住民一人ひとりが情報を活用し、置かれている状況を的確に判断して避難等の行動の判断できる環境を整備する必要がある。そのためには、行政が保有する情報のみならず民間事業者が保有する情報も連携して活用することで、より災害・避難に係る情報の速報性及び正確性を向上させることが有効であるといえる。加えて、行政等は、SNSやチャットボット等の多様なチャネルを通して住民と双方向の情報連携を行うことで、多様な環境下に置かれた住民一人ひとりの状況を把握し、必要な支援に結び付けることも求められるであろう。 コラムCOLUMN 3 ICT/IoTの国際競争力をみる はじめに 2021年5月「デジタル社会形成基本法」が成立した。同法では、デジタル社会の形成は産業の国際競争力の強化に寄与するものでなければならないと規定されている。総務省では、我が国のICT産業の国際競争力強化に向けた測定指標として「IoT国際競争力指標」を2015年から策定し公表している。この指標は、IoT社会の到来を踏まえ、世界のICT/IoT製品・サービスの年次売上高や各国企業のシェアの観点から、ICT産業における日本企業の競争力の一面を計測している。世界のICT産業は、直近の2015年から2019年までの5年間においても、経済社会の環境変化や技術開発の進展などの様々な影響により、市場規模やその成長率が変動し、日本の売上高シェアや成長率の指標の変動にもつながっている。 本稿は、令和2年版白書に引き続き、主に「IoT国際競争力指標(2019年実績)」 83 (図表0)をもとに、世界各国における「IoTの進展等による成長市場」や「従来のICT市場」の製品やサービスを巡る、我が国の国際競争力の状況について解説する。 図表0 IoT国際競争力指標の構成 (出典)総務省(2021)「IoT国際競争力指標」 1 世界全体の市場動向 84 (1)「従来のICT市場」を主要10か国・地域で比較する 世界におけるICT製品等(36項目)の各市場について、売上高の国・地域別市場シェアと売上高成長率(対前年比)の2015年から2019年(図表1-1)の推移をみる。 図表1-1 ICT各分野の国・地域別市場シェア(2019年) (出典)総務省(2021)「IoT国際競争力指標」 まずICT製品等の市場全体について、2019年の市場シェアは37.6%と米国が最も高く、中国の15.6%や日本の8.5%を大きく引き離している。シェアが最も高い米国とそれに次ぐ中国は、2019年までに数%ずつシェアを拡大しているほかは、一定のシェアがある日本や韓国に大きなシェアの変動はみられない。世界の市場成長率は、緩やかなプラス成長が継続し、2019年は3.6%となっている。日本は、2016年と2017年に世界全体の値を上回ったが、再び鈍化している。 国・地域別に市場シェア及び市場成長率をみると、市場全体のシェアが最も高い米国は、分野全般でトップシェアを占めており、世界トップシェアのICT製品等の数が他国・地域と比較して最も多い。クラウド/データセンター分野では、世界全体で2016年から2桁台の高い成長率が継続し、固定系ネットワーク機器分野の世界の市場成長率もプラスが継続しているが、これらの分野で米国は、継続して非常に高いかつ最大のシェアを確保(クラウド/データセンター分野75.4%、固定系ネットワーク機器分野56.8%)し、大きなシェアの変動はみられない。また、動画配信サービスも2019年の市場成長率が高いが、米国が非常に高い市場シェア(63.2%)を占めている。世界の市場成長率は、キーデバイスと情報デバイス分野は、プラスで推移していたが2019年にマイナスに転じ、情報端末分野ではマイナスでの推移から2019年にプラスに転じているが、これらの分野においても、米国が継続して最大のシェアを確保(キーデバイス分野36.1%、情報デバイス分野54.8%、情報端末分野44.6%)している。 中国は、米中貿易摩擦下で制裁が強化されたにもかかわらず、移動系ネットワーク機器分野において世界トップシェア(39.4%)かつシェアが拡大傾向にある。同分野の世界の市場成長率はマイナスから2019年に大幅なプラス成長に転じた。製品では2019年は、携帯基地局(44.6%)とマイクロ波ミリ波通信機器(29.4%)で中国のシェアが最も高かった。家電・OA機器(30.4%)や固定系ネットワーク機器(21.4%)分野でも一定のシェアを占めており、情報端末分野(29.8%)や情報デバイス分野(21.5%)でもシェアが拡大傾向にある。 日本は、その一方で、キーデバイス(23.6%)と家電・OA機器(20.8%)分野において継続して一定のシェアを占めている。同分野の世界の市場成長率は、2015年からプラスで推移していたが、2019年にマイナスに転じている。特に日本企業は、据置型ゲーム(83.6%)、ポータブルゲーム(100%)、画像センサ(55.7%)のシェアが最も高く、2015年から2019年の間にシェアの減少はみられないが、いずれも世界の市場規模が大きいとはいえない。従来のICT市場において既に成熟化し成長が鈍化している機器やサービスの多くで一定のシェアを確保しており、新たに市場化して普及が拡大している機器やサービスではシェアが低い傾向が見られる。 韓国は、家電・OA機器分野(42.6%)で継続して最大シェアを確保している。製品では、テレビ(47.2%)において世界トップシェア、スマートフォン(23.3%)において高い市場シェアを占める。いずれの市場も世界の市場規模が2019年においても1000億ドルを超えている。スウェーデンやフィンランドは、移動系ネットワーク機器において高い市場シェア(スウェーデン19.9%、フィンランド16.0%)を占めている。ドイツとオランダは、キーデバイス分野において一定の市場シェア(ドイツが9.6%、オランダが7.7%)を占めている。フランスは、ブロードバンドCPEにおいて一定の市場シェア(29.0%)を占めている。台湾は、サーバ(13.1%)やPC(12.0%)、ブロードバンドCPE(16.0%)において一定の市場シェアを占めている。 (2)「IoTの進展等による成長市場」を主要10か国・地域で比較する これまでスタンドアローンで存在していた端末/キーデバイス群が通信やプラットフォーム/ネットワークで相互につながりはじめ、集積されたデータを分析・制御することによる新たなサービス・アプリケーションを享受できる「IoT社会」が到来することが予想されてから数年が経過した。IoT利活用の進展や5G導入によって、今後更に「デジタルトランスフォメーション」が進展することが予測され、既存の機器やサービスが新しいものに置き換えられ多様化することが見込まれる。 Informaによると、日本市場シェアは、スマートフォンやタブレットなどの情報端末分野を中心としたBtoC市場で低いが、スマートシティ、スマート工場分野に代表されるIoT市場では相対的に高い。5G/IoTによるデジタルトランスフォメーションの時流に日本企業が少なからず舵を切っていることが覗われる。しかし、IoT機器の市場全体の成長率は鈍化傾向にあり、海外企業には、IoTや5Gなどの利活用にかかわるサービスやプラットフォームといった場面での収益拡大を目指す動きも見られる。 世界におけるIoT製品(12項目)の各市場について、売上高の国・地域別市場シェアと売上高成長率(対前年比)の2015年から2019年(図表1-2)の推移をみる。まずIoT製品の市場全体について、2019年の国・地域別の市場シェアは、引き続き、中国が23.3%と最も高く、米国と日本はそれぞれ21.2%、18.5%となった。2015年に最大シェアだった日本は、その後シェアを縮小させていき、2018年には中国に、2019年には米国に追い抜かれ、徐々に後退する結果となった。また、IoT市場全体の世界の市場成長率の推移をみると、2015年以降10%前後を推移した後2019年は3.2%に鈍化しており、日本の売上高成長率も、2015年に世界全体の値を上回った後は鈍化傾向にあり、2019年には中国や韓国とともに大幅なマイナスとなっている。 図表1-2 IoT各分野の国・地域別市場シェア(2019年) (出典)総務省(2021)「IoT国際競争力指標」 国・地域別に市場シェア及び市場成長率をみると、市場全体のシェアが最も高い中国は、スマートシティやコネクテッドカーの分野で徐々にシェアを拡大し2019年も最大シェア(スマートシティ33.3%、コネクテッドカー40.5%)を維持しており、スマートエネルギー分野(24.3%)でも高いシェアを継続的に確保している。製品では、監視カメラ(51.1%)とスマートメーター(44.3%)のシェアが特に高く、トップシェアは3項目となる。スマートシティの世界の市場成長率は2018年までプラスで推移してきたが2019年にはマイナスに転じた。コネクテッドカー分野は、2017年はマイナス成長となるものの、その後は高い成長率が続いている(後出2(1))。 米国は、ヘルスケア分野(30.1%)で市場シェアを徐々に拡大して最大シェアとなるとともに、スマートエネルギー分野(28.7%)で最大シェアを継続、スマートシティ分野(22.5%)でも高いシェアを継続的に確保している。製品では、ウェアラブル(66.7%)、超音波(31.5%)、スマート照明機器(37.9%)の3項目がトップシェアとなっている。ヘルスケア分野の世界の市場成長率は、0%前後を推移しているが、スマートエネルギー分野は、継続して高い成長率となっている。 日本はその一方で、スマート工場分野(35.4%)ではトップシェアを継続し、同分野の世界の市場成長率は、緩やかなプラス成長が継続している。スマートシティとヘルスケア分野においては、2015年から2019年にかけて日本のシェアは縮小し、米国に追い抜かれる結果となっている。製品では、X線(35.3%)、産業用ロボット(54.9%)、マシンビジョン(22.1%)の3項目がトップシェアとなる。2019年にはIoT製品のほとんどで10%以上のシェアを確保しているが、多くのIoT製品の市場シェアは、2015年から2019年にかけて減少しており、デジタルサイネージ(-20.2%pt)やスマートメーター(-13.5%pt)の減少幅は特に大きい。なお、国内企業の利用率に大幅な減少はみられない(図表1-3)。 図表1-3 日本企業によるIoT機器利用率 85 (出典)総務省(各年)「通信利用動向調査」 フランスは、生体認証システム(18.9%)でシェアが高いが、複数国が一定のシェアを占めている。韓国はデジタルサイネージ(27.6%)の市場シェアが最大となる。ドイツは、プログラマブル・ロジック・コントローラ(33.0%)で市場シェアが最大となっている。 2 ICT/IoT各分野の市場動向 (1)サプライチェーンリスク 米中関係は、サプライチェーンリスクなどの安全保障上の懸念から緊張関係が継続している 86 。2018年以降、米国は、通商法301条による中国からの輸入品への追加関税賦課を決定し、産業機械や電子部品等をはじめとした輸入品への段階的な追加関税措置を実施した。2019年5月には、米国商務省(BIS)が輸出管理規則(EAR)に基づき、輸出を制限する企業を掲載するエンティティ・リスト(EL)にファーウェイ及び関連68社を追加し、事実上の禁輸措置が採られた 87 。2020年にはファーウェイを対象とする輸出規制が強化され、米国装置を使って米国外で半導体を製造して供給することやサードパーティを通じて半導体を調達することも禁止となったが、5G未満レベルの通信システム等の開発又は製造を支援する能力を有するに過ぎない品目の場合は都度判断するとされた 88 。 キーデバイス分野全般では米国が最大のシェアを占める(前出1(1))が、米中摩擦は、中国企業の中間財調達に影響するなど、各国・地域のICT市場シェアに影響することが予測される。Informaによると、2019年は、中国企業は多くの分野で引き続き高いシェアを確保したが、いくつかの項目でこれまでと異なる変化がみられた。 ブロードバンドCPEは、中国企業シェアが著しく縮小(前年比-16%pt)し、米国シェアが拡大した(図表2-1)。固定系ネットワーク機器分野全体の市場成長率は緩やかなプラスが継続するなか、2019年のブロードバンドCPEの市場成長率はマイナスとなった。市場シェアは、2019年にフランス及び米国のシェアが中国を上回っている。Informaによると、規模の大きい中国市場の需要がピークアウトしてきたことに加え、中国企業の半導体調達に対する米国政府の規制等の影響が表面化したことによると考えられる。 図表2-1 ブロードバンドCPE市場シェアの推移(2015-2019年) (出典)Informa 自動車向けセルラーモジュールは、単価下落があり2017年には一時期マイナス成長となったものの、欧州のeCall規制導入などにより市場は拡大しており、2019年は30%以上の高い成長率となっている。中国の市場シェアは、2015年の13.2%から2019年の40.5%へと大きく拡大しており(図表2-2)、2019年の売上高成長率は70.7%となった。Informaによると、これは、中国政府におけるコネクテッドカー普及に向けた政策的な後押しがあることに加え、現在の自動車向けセルラーモジュールの通信方式が2Gから4Gまでであり、米国政府の半導体調達に対する輸出規制の対象外であることで影響を受けなかったためである。 図表2-2 自動車向けセルラーモジュール市場シェアの推移(2015-2019年) (出典)Informa (2)5G 2019年に韓国、中国、米国、欧州などの主要国・地域で通信キャリアによる5Gの商用サービスが開始し、関連設備投資の本格化により世界の市場が拡大している。日本でも2020年4月から主要キャリアが商用サービスを開始し、その後も基地局の増設を継続しながら地域カバー率を拡大している 89 。 世界の移動系ネットワーク機器分野全体の市場成長率は、2016年以降マイナスが継続していたが、2019年にプラスに転じ、中国や韓国が高い成長率を示した。ICT産業全体でプレゼンスの高い米国企業のシェアは、移動通信分野では比較的低く、中国が最大シェアかつ31.6%(2015年)から39.4%(2019年)へと拡大傾向にある。スウェーデンやフィンランドがそれに次ぐシェアを確保するものの縮小傾向にある。 携帯基地局は、2018年末に米国で始まった5Gインフラの導入により、ここ数年間の調整状況から2019年の市場規模はプラス成長に転じた。今後5Gインフラへの投資の本格化による需要が見込まれている。2019年には、中国の市場シェアが最も高く、スウェーデン及びフィンランドがそれに次ぎ(図表2-4)、中国企業シェアは上昇しスウェーデンやフィンランドのシェアが下落する傾向にある(図表2-3)。Informaによると、5G基地局向け半導体調達等が米国の規制の影響を受け、一部のエンティティ・リスト(EL)に掲載された中国企業の2020年シェアは低下したものの、世界における中国市場の規模が大きく、同市場でのローカルベンダーのシェアが高いため、中国は市場シェアを維持したと推測される。主としてカバレッジを確保するためのマクロ基地局を補完する小型基地局は、5Gにも対応可能な機種が4Gネットワークに導入されつつあり、市場が更に拡大、2019年の成長率は45%と高い。 図表2-3 携帯基地局市場シェアの推移(2015-2019年) (出典)Informa 図表2-4 携帯基地局市場シェア(2019年) (出典)Informa これに対して、基地局間通信や防災無線等の用途に使用するマイクロ波ミリ波通信機器は、中国シェアが高いが2019年にはマイナス成長となっている。IEEE802.11規格に準拠した通信機器のWLAN機器やキャリアWifiアクセスポイントは、世界の売上高の5割以上のシェアを米国企業が占め(それぞれ75.3%、52.5%)、中国も一定のシェアを占めるが、2019年にはわずかなプラス成長にとどまっている。 (3)COVID-19 2020年に入ってから、COVID-19は収束の気配がない。COVID-19拡大による人の移動制限が、工場などの生産現場での工場稼働の抑制、事務業務でのオンライン会議の増加による関連機器の需要増、外出規制による自宅での家電やゲームの需要増や移動を伴う通信機器の需要減の形で市場動向に影響を及ぼすと考えられる。 ICT/IoTを活用した企業のデジタルトランスフォメーションの必要性が強く認識されるようになっている。ユニファイドコミュニケーションは、TDM方式によるPBX(構内電話交換機)/KTS(キーテレフォンシステム)、IP PBX/KTS及びこれらプラットフォーム上で音声、メール、ファックスなどの複数の通信機能を統合したシステムで、これら従来型システムの市場で、日本企業は一定の市場シェア(2019年10.8%)を確保しているが、ここ数年は市場全体のマイナス成長が継続し、2019年には-11.0%にマイナス幅が拡大した。Informaによると、市場の成熟化による、今後の市場の縮小が予測されている一方、コロナ禍でZoom、Google Meets、Microsoft Teams、Webex等クラウドベースのコラボレーションツール(オンライン会議のアプリケション)の利用が急速に拡大した。とりわけスタートアップのZoomは、様々な既存システムとの相互接続性を持たせるサービス開発により急成長した。ただし、このサービスの提供企業に日本企業の影は薄い。Informaによると、今後、コラボレーションツール市場の売上高がユニファイドコミュニケーション市場の売上高を上回ることが予想される(図表2-5) 90 。 図表2-5 コミュニケーションツール市場規模の予測(2019ー2024年) 91 (出典)Informa またCOVID-19による生活環境の変化が、巣ごもり需要を生み出し、家電OA機器の売上高に影響を及ぼしている。家電・OA機器分野全体は、これまで米国のシェアは低く、韓国が継続して最大シェアを占め、日本や中国のシェアがそれに次ぐ状況が続いている。市場成長率は近年プラスで推移していたが、2019年はマイナスに転じている。製品では、ポータブルゲームや据置型ゲームは、日本のシェア(それぞれ2019年100%、83.6%)が非常に高いが、テレビは韓国がトップシェア(2019年47.2%)を占める。2019年は据置型のポータブル対応機が普及してポータブルゲームは高い成長率(111.5%)となり市場が大幅に持ち直し、2020年には在宅余暇の利用のため、据置型ゲームを中心に大幅な売上高増加がみられた。テレビ市場は、2019年は冬季オリンピックなどのイベント需要の反動減が見られており、2020年はスポーツイベントの中止により売上高は減少したが、出荷台数は増加した 92 。 キャリアWifiアクセスポイント機器は、Informaによると、これまで、公共施設での利便性向上が市場の拡大を牽引してきたものの、コロナによる導入工事や投資が抑制により大幅に売上高が減少した。 81 国立研究開発法人防災科学技術研究所「協働型災害対応を情報共有で支える「SIP4D」」(2020.11.9)(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dgov/data_strategy_tf/dai2/siryou7.pdf) 82 新潟県三条市ホームページ(https://www.city.sanjo.niigata.jp/soshiki/somubu/johokanrika/service/4656.html)※2021.3.30閲覧時点 83 総務省報道資料(2021年3月2日)https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin02_02000151.html 84 本項で特段注記のない数値は、2019年実績値を指すこととする。 85 IoT・AI等のシステムサービス導入企業(2017年は導入企業及び導入を検討している企業)の利用率 86 令和2年版情報通信白書p268-269。 87 世界経済の潮流2019年I II 88 CISTEC(2020年8月9日)「米国の中国企業製アプリ、通信企業への規制・制裁に関するQA風解説」https://www.cistec.or.jp/service/uschina/27-20200819-2.pdf 89 総務省は、2020年12月に「ICTインフラ地域展開マスタープラン」を改定し、地方を含め、5G基地局の整備を急速に進めることとし、2023年度末には、地域カバー率を98%とすることを見込んでいる。 90 市場調査会社IDC(2021年3月29日発表)によると、ユニファイドコミュニケーション/コラボレーション(UC&C)の世界市場は、2020年に前年比29.2%の成長を遂げた。https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prUS47572421 91 ユニファイドコミュニケーションは2020年以降、コラボレーションは2021年以降が予測値。 92 Informaプレスリリース(2021年2月17日)“2020 TV shipments hit 225.4 million the highest since 2013”https://omdia.tech.informa.com/pr/2021-feb/2020-tv-shipments-hit-over-225-million