(4)AIの普及促進 人工知能(AI)は、インターネット等を介して他のAI、情報システム等と連携し、ネットワーク化されること(AIネットワーク化)により、その便益及びリスクの双方が飛躍的に増大するとともに、空間を越えて広く波及することが見込まれている。 総務省では、2016年(平成28年)10月に「AIネットワーク社会推進会議」(以下「推進会議」という。)を立ち上げ、AIネットワーク化の推進に向けて、社会的・経済的・倫理的・法的課題について検討を行っており、これまで、2017年(平成29年)7月にAIの開発において留意することが期待される事項を整理した「国際的な議論のためのAI開発ガイドライン案」を、2019年(令和元年)8月にAIの利活用において留意することが期待される事項を整理した「AI利活用ガイドライン」を取りまとめ、公表している。また、2020年(令和2年)7月には、事業者等におけるAIに関する意欲的な取組等を取りまとめた「報告書2020」を公表し、引き続き「安心・安全で信頼性のあるAIの社会実装」の推進に向けて取り組んでいる。 さらに、AIの社会実装の推進について、主に経済的な見地から議論を行うため、2019年(平成31年)1月に推進会議の下に「AI経済検討会」を開催し、AI経済に関する基本的政策及び中長期的な戦略の在り方等について検討を進めている。また、同検討会の検討事項のうち、特にAI時代のデータ経済政策に係る専門的・技術的事項について検討を行うため、2019年(令和元年)12月にAI経済検討会の下に「データ専門分科会」を開催した。2020年(令和2年)7月にAI時代におけるデータの価値の測定やAI経済社会の将来像のイメージ等を取りまとめた「AI経済検討会報告書2020」を公表し、引き続き、データの価値の測定等について検討を行っている。 総務省では、これらの成果を踏まえ、G7、OECD等においてAIに関する国際的な議論を進めており、直近の国際的な動向として、以下のようなものがある。 「人間中心」の考えに基づく責任あるAIの開発と使用に取り組む国際的なイニシアチブとして「AIに関するグローバルパートナーシップ」(Global Partnership on AI, GPAI)が2020年(令和2年)6月に創設された。「責任あるAI」などのテーマ別に5つのワーキンググループが設置され、議論が行われている。同年12月に第1回プレナリー会合がオンラインで開催され、各ワーキンググループの成果や今後の検討内容について報告がなされた。なお、「責任あるAI」のレポートにおいて、有望な取組事例の1つとして、推進会議の『国際的な議論のためのAI開発ガイドライン案』が掲載された。 2019年(令和元年)5月に採択されたAIに関するOECD理事会勧告に基づいて社会実装を推進する取組の一環として、AIに関する取組の情報共有を進めるためのオンラインプラットフォームである「AI政策に関するオブザーバトリ」(OECD.AI)に助言を行うAI専門家グループ「OECD Network of Expert on AI」(ONE AI)が2020年(令和2年)2月に設置された。同年11月に開催されたデジタル経済政策委員会(CDEP)において、総務省から「報告書2020」について報告した。 データの価値の測定についての国際的な議論も、OECDデジタル経済政策委員会(CDEP)デジタル経済計測分析作業部会(WPMADE)等で行われている。2020年(令和2年)11月及び2021年(令和3年)3月に開催された会合において、「AI経済検討会報告書2020」や、その後の取組について報告した。 引き続き、「報告書2020」や「AI経済検討会報告書2020」等を踏まえ、様々な機会をとらえて推進会議等における成果や議論について情報発信を行うとともに、国際的な議論への積極的な貢献に取り組んでいく。