(2)キャッシュレス決済の推進 2019年(令和元年)6月に閣議決定された「成長戦略フォローアップにおいて、2025年(令和7年)6月末までにキャッシュレス決済比率を倍増し4割程度とすることを目指し、キャッシュレス化推進を図ることとされた。 キャッシュレス決済手段のうち、QRコード決済の中には他のキャッシュレス決済手段に比して低い手数料で利用可能なサービスも多いが、QR決済サービスが多数併存している現状において、店舗にとっては何を導入すれば良いか分からず、複数導入するとオペレーションが煩雑になるといった課題がある。2018年(平成30年)7月に関係団体・事業者等による推進団体として「一般社団法人キャッシュレス推進協議会 12 」(オブザーバー:総務省、経済産業省等)が設立され、QRコード決済等の標準化に向けた検討が行われ、2019年(平成31年)3月に「コード決済に関する統一技術仕様ガイドライン」が策定された。以後、同ガイドラインに基づいた統一規格QRコードを「JPQR」と呼称している。総務省は2019年度(令和元年度)に、同協議会、経済産業省と連携し、複数決済サービスのQRコードをJPQRとして一つにまとめ、申込も一本化することで、小規模店舗等へのキャッシュレス導入効果を検証する実証事業を5県で実施した。2020年度(令和2年度)は、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策の観点から地域のキャッシュレス化の更なる推進が求められたところ、WEBを通じて全国の店舗等からJPQRへの申込を可能とし、店舗等向けの説明会を実施した。また、マイナポイント事業(マイナンバーカードを取得し予約・申込を行い、キャッシュレス決済サービスで前払いや購入を行った者に対して、利用額の25%分のポイントを付与するもの)と連携し、JPQRの普及を通じて、地域におけるマイナポイントが利用可能な店舗の開拓を図った。以上の取組により、2019年度、2020年度累計で約1万6千店舗がJPQRを導入した(2021年3月時点)。2021年度(令和3年度)は、引き続き説明会や広報を実施するほか、JPQR管理画面 13 の機能拡充に向けた改修を実施し、主に飲食、小売、理美容、タクシー等JPQRと親和性の高い業界や、住民票等の各種書類発行手数料等のやり取りが発生する自治体窓口等への普及を図る。 一方、決済データについては、決済事業者や小売店舗などの間でデータを共有するためのAPIが未整備であり、決済事業者等が決済データをそれぞれ分断して保有していることから、価値のある利用ができていない状況である。2020年度(令和2年度)には、地域におけるキャッシュレス決済利用のインセンティブを創出するため、決済データ・購買データの利活用モデルを構築するための実証事業を実施し、地域のデータ利活用主体が決済事業者とデータ連携するための標準APIガイドラインや、決済データ等の取扱に関するガイドラインの策定に向けた検討を行った 14 。2021年度(令和3年度)には、より幅広く決済データ等の利活用が可能な環境を構築するためのモデル実証を実施する。(図表5-6-3-2)。 図表5-6-3-2 JPQRのイメージ 12 一般社団法人キャッシュレス推進協議会:https://www.paymentsjapan.or.jp/ 13 JPQR導入店舗等からJPQR参加決済サービスの売上履歴等を一括照会できるシステム。 14 この検討を踏まえ、キャッシュレス推進協議会によりガイドラインが策定・公表された。https://www.paymentsjapan.or.jp/news/code-payments/20210427-regional-data-guidelines-v1/